個人投資による資産運用の歴史が浅い日本では、短期投資で巨万の富を手に入れたデイトレーダーの存在が注目される一方、長期投資で資産運用を行った成功事例が注目され難い環境にあると言えます。
短期投資と長期投資のメリットとデメリットを確認しながら2つの投資スタイルの特徴や、資産運用の成功がより期待できる投資スタイルがどちらの投資スタイルであるのかなどをウェルスナビを例に取り上げながら紹介します。
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短期投資と長期投資の投資スタイルの違いとは
海外ETFへの分散投資をロボアドバイザーが自動的に行う資産運用サービスを提供するウェルスナビでは、30年間の分散投資をモデルケースに長期投資を推奨していますが、世間では投資に対して短期間でトレードを繰り返すというステレオイメージを持つ方が少なくないようです。
インターネット環境の普及と共に、2000年代初頭から短期トレードを繰り返し資産運用を行うデイトレードが注目を集め、デイトレーダーと呼ばれる多くの個人投資家が脚光を浴びたことで「投資による資産運用」の概念が日本国内に根付き始めたと言えるでしょう。
本来投資は株式や債券を長期保有することで緩やかに、かつ着実に資産を増加させる資産運用だと考えられていましたが、デイトレーダーが注目されたことによって現在は投資と投機の線引きが曖昧になったとも考えられます。
短期投資とは
デイトレーダーの存在で注目を集めた投資スタイルである短期投資は、短期間でトレードを繰り返すことによって資産運用を行う投資スタイルですが、短期を定義付ける基準はなく数分で売り買いされるトレードも数時間・数日・数週間のレンジで行われるトレードも短期投資と呼ばれます。
市場のボラティリティを最大限に活用する投資スタイルであることから投機性が高く、トレードで利益を得ることによって強い達成感を感じるトレーダーが多く発生することから「投資=ギャンブル」のイメージを構築する原因になっている側面も存在します。
長期投資とは
資産運用を行うのが一般的である欧米で古くから行われていた投資スタイルが長期投資で、長期間かけてジックリと投資を行い最終的な総資産額増加を期待する投資スタイルだと言えます。
長期を定義づける基準も存在しませんが、強いて言うならば数年~10年程度であれば中期、10年を経過する投資計画であれば長期に分類されると言えるでしょう。市場のボラティリティに一喜一憂することなく長いレンジで資産運用を行うため、市場相場の下落による「狼狽売り」で損をするリスクを回避できるほか分散投資で効果的な資産運用を行うトレーダーに好まれる投資スタイルだと考えられます。
短期投資と長期投資の違いとは
投資で資産運用を行って総資産額増加を期待するのが短期投資と長期投資の共通項であり、最終的な到達目標ではあるものの到達目標へのアプローチが全く異なるのは短期投資と長期投資の投資スタイルに反映されていると言えます。
短期投資を行うトレーダーにとって市場のボラティリティこそが利益の源泉となるため、短期投資を行うトレーダーの多くはより高いボラティリティが期待できる新興銘柄に対する投資を好む傾向にあります。
一方長期投資を行う投資家は保有する株式や証券などの将来性や、世界的なGDPの成長による保有資産の資産価値の上昇が利益の源泉となるため、大型株や安定株に分散投資を行うことを好む傾向にあります。
短期投資と長期投資それぞれのメリットとデメリット
投資は利益確定をした時点で総資産が投資元本よりも増加していれば成功だと言えますが、全ての投資家がより多くの利益を求めたいと考えているのも事実です。
それぞれの思惑で短期投資と長期投資のどちらの投資スタイルでと資産運用を行うのかを決定しますが、それぞれの投資スタイルにはメリットとデメリットが存在するためどちらの投資スタイルで資産運用を行うかを検討するためにはしっかりとそれぞれのメリットとデメリットを掴んでおく必要があります。
短期投資のメリット
短期投資のメリットとして最初に挙げられるのが短期間で大きな利益を手にいれられる可能性があるという点だと言えるでしょう。市場のボラティリティを最大限に利用することができれば短期間で大きな利益を得られる可能性があるのが短期トレードの最大の特徴でありメリットです。
短期間で大きな利益を得られる可能性以外にも短期トレードには次に挙げるメリットが存在します。
- 投資前のリサーチを行わずに直感的に取引を行える
- 予期できる市場暴落や決算発表の影響を回避できる
市場のボラティリティを見て投資を行う短期投資ではテクニカル分析などを利用したトレードが主体となるため、企業業績や景況感など経済的見通しを必要以上に分析せずにトレーダー自身がボラティリティの流れを直感的に捉えて取引が行えます。
また意図的に投資を引き上げることで予期できる市場暴落や、決算発表に影響される予期できないボラティリティを回避できますし、1日ごとのトレードを行うデイトレードでは国内の取引時間外に発生した材料による下落トレンドの影響を受けることもありません。
短期投資のデメリット
市場のボラティリティを利益の源泉とする短期投資では、ボラティリティの大きな銘柄に対する投資比率が高くなる傾向にあるため大きな利益を得られる可能性と同様に損失が大きくなるリスクも抱えています。
損失が大きくなると被害拡大を食い止めるために損切りの決断も求められ、精神的疲弊は小さなものではありません。また短期で繰り返す購入と売却には売買手数料が発生するためトレードのランニングコストが膨らむのもデメリットだと言えますし、利益確定の度に課税されるのをデメリットと捉える方も存在します。
長期投資のメリット
長期投資のメリットとして最初に挙げられるのが、短期的なボラティリティに惑わされない資産運用が行えることだと言えます。保有する株式や債券の将来性や世界的GDPの後押しで増加する資産価値が利益の源泉となるため、時間的なゆとりがあるのが長期投資の投資スタイルが持つ特徴であり、最大のメリットだと言えます。
短期的なボラティリティの影響を受けることがないので、相場の確認で仕事が手に付かなくなることもなく生活のリズムを崩すことなく余裕のある資産運用が行えますし、さまざまな分野への分散投資にジックリと取り組むことが可能です。
また取引頻度が低いためトレードのランニングコストが抑えられるのも、長期投資の魅力の1つだと言えるでしょう。
長期投資のデメリット
短期投資のように短期間で資産を倍増させることができる可能性は低いと言えます。また投資家心理としては利益が出た時点で利益確定を行いたくなるものですが、長期的に投資を行うことで資産運用を行う長期投資では利益確定したくなる気持ちを抑える必要があるのが投資家にとっての心理的負担となることも考えられます。
もちろん目標額を達成した場合は利益確定を行っても問題はありませんが、長期的視野で資産運用を行うのが長期投資の投資スタイルですので利益確定までには時間がかかるものだと考える必要があります。
短期投資と長期投資、どちらの投資スタイルがおすすめなのか
短期投資と長期投資には投資スタイルごとの特徴やそれぞれメリット・デメリットが存在するため、全ての投資家を納得させる「どちらの投資スタイルで資産運用を行うのがより効率的なのか?」という答えは存在しません。
イメージする運用期間や投資スタイルに合致する投資スタイルを投資家自身が探る必要がありますが、ウェルスナビが「ケースによっては短期投資では長期投資に勝てない」という非常に興味深いレポートを公表しているので紹介します。
運用期間25年間の資産増加率で長期投資より資産増加できた短期投資は3%
ウェルスナビの発表では1992年1月末から2017年1月末までの25年間、世界約50カ国を対象に1万1000銘柄の株式・金・不動産などへの投資で比較した場合、投資元本が長期投資より増加した短期投資は3%であることが判明しました。
長期投資は100万円の投資元本に加え月々3万円の積立投資を行い累計1,000万円の投資を行い、25年後の2017年1月末の総資産額は累計投資額の約2.4倍となる2,457万円となっています。
短期投資は月末に翌月は全資産の投資を行うか、現金で留保するかを選択する投資スタイルで10万とおりのなかからランダムに抽出した結果を比較すると2017年1月末の総資産額が2.457万円を超える確率が3%で、残りの97%は総資産額が2,457万円に至っていません。
短期投資と長期投資の明暗を分けた原因とは
市場のボラティリティを利益の源泉とする短期投資で驚くほどの利益を得られた例は存在するものの、全ての短期トレーダーが投資に成功し理想的な資産運用を行っている訳ではありません。
短期投資というのは「投機性=キャンブル性」の要素が非常に色濃い投資スタイルであることは既に紹介しましたが、この短期投資の持つ特性が25年間の運用期間の結果に如実に現れていると考えられます。
短期的に利益を出している場合でも、10万通りの短期投資のサンプルケースのなかでは平均約900万円の損失が発生しており、97%の短期トレーダーは総資産額が2,457万円に至っていません。
調査対象となった25年間の間には市況が好調の時期も不調の時期も存在しますが、平均的に年間6%前後のリターンを発生させることが可能であったと考えられます。
短期投資のサンプルケースの投資を行わず資産を現金で保留した期間は資産増加が望めませんし、常にディールに勝ち続けることは現実的には不可能だと言えます。
大きく儲けて大きく損をする投資スタイルは一見派手に見えますが、冷静に収支を確認すると短期投資で勝ち続けられる確率が3%であったということになります。
長期投資は安全性が高い投資スタイルなのか
長期投資の成功例のポイントは初期投資した投資元本に加えて月々3万円の積立投資を行っている点だと言えるでしょう。25年間は300ヶ月という膨大な期間ですが3万円を300回積み立てるだけで900万円の増資を行ったことになり、累計投資額は1,000万円になっています。
100万円を2,457万円に増やすためには資産を約25倍に増やす必要がありますが、累計投資額が、1,000万円であれば約2.4倍に増やすだけですので投資リターンへの依存度が大きく低下します。
積立投資併用の長期投資の投資スタイルは時間を味方に付けながら自助努力と共に達成する資産運用スタイルでもあると言えるでしょう。
投資には絶対ということはありませんので、投資期間が短く投資リターンへの依存度が高くなるほど、ハイリスク・ハイリターンを選択せざるを得なくなる傾向が強くなるため投資リターンへの依存度が低い長期投資は短期投資より安全性が高い投資スタイルだと考えられます。
長期投資成功のカギは分散投資にある
時間を味方に付け積立投資での自助努力も行いながら投資リターンへの依存度の低い長期投資を行う際でも、少しでも大きな資産運用を実現したいものです。長期投資で投資リスクを下げながら少しでも投資リターンを得るためのカギは分散投資にあると言えるでしょう。
2017年の世界のGDP総額は25年前の1992年と比較すると約3倍のボリュームとなっており、GDP成長のカギは人口増加と技術革新による1人当たりGDPの成長によるものだと考えられています
今後数十年間に及ぶ人口増加問題に対しては、既に多くの機関からの予測で示されていることからも揺るぎのない事実だと考えられ、1人あたりのGDPの増加は昨今のアジア地区の新興国の経済成長を見ることで実感できるのではないでしょうか?
日本国内に居ながら世界的な経済成長の恩恵を投資リターンで受けるためには、海外への分散投資を行う必要があり、ウェルスナビの提供するロボアドバイザーを利用した海外ETFへの分散投資は非常に有力だと考えられます。
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