フォビトークン(Huobi Token)の概要
HTの概要 | ||
---|---|---|
基本情報 | 仮想通貨名 | フォビトークン(Huobi Token)、フォビ・グローバル・エコロジー・インテグラル(Huobi Global Ecology Integral) |
ティッカーシンボル | HT | |
発行開始年月 | 2018年1月 | |
主な利用用途 | 仮想通貨取引所Huobi Global(フォビ・グローバル)の取引手数料の割引、フォビ・グローバルのサービスの利用、対応するサービスでの決済 | |
発行状況 | 発行主体 | Huobi Global(フォビグローバル) |
発行方法 | なし。公開時に上限発行量まで発行済み。 | |
上限発行量 | 500,000,000HT | |
発行可能数の変更 | 不可 | |
発行予定・発行条件 | なし | |
価格移転記録 | コンセンサスアルゴリズム | PoS(Proof of Stake) |
フォビトークン(Huobi Token)の発行主体(財団など)について解説
フォビトークンの発行主体はHuobi Global(フォビグローバル)という仮想通貨取引所です。
フォビグローバルは2013年に中国で設立されました。2013年8月には中国国内で仮想通貨交換業を開始。急速に取引高を増やしていき、同年12月には取引高が300億人民元を突破、2016年11月には1.7兆人民元を超えました。当時は世界のビットコイン市場のおよそ6割をフォビグローバルが占めていたとも言われています。
2017年9月に中国政府が中国国内でのビットコイン取引を禁止すると、フォビグローバルは本社を韓国に移転しました。現在は韓国、シンガポール、香港、日本にオフィスを構えています。
仮想通貨交換業のほかにフォビグローバルはブロックチェーンの研究も行っており、中国国内に研究拠点を設けています。2020年2月には独自のブロックチェーンであるHuobi ECO Chain(フォビ・エコチェーン)のテストネットをローンチ。同年12月にはメインネットをローンチしました。
フォビトークン(Huobi Token)のCEOについて
フォビグローバルのCEOはレオン・リー氏が務めています。レオン氏は中国の北京出身で、清華大学の自動化学科で制御科学と工学の学位を取得したエンジニアです。
2013年にフォビグローバルを設立する前には、アメリカのソフトウェア開発企業であるOracle(オラクル)でコンピューターエンジニアとして働いていました。また中国国内でSEO(検索エンジン最適化)やeコマースを専門とする企業に籍を置いていたこともありました。
フォビトークン(Huobi Token)のCTOについて
フォビグローバルのCTOはシェンフェン・チェン(マース・チェン)氏が務めています。マースはシドニー大学を卒業したセキュリティ、およびブロックチェーンの専門家です。
フォビグローバルのCTOのほか、中国のインターネット金融セキュリティ専門家委員会、ブロックチェーン専門委員会のメンバーでもあります。
現在の役職に就く前には中国のセキュリティベンダーであるAnity LabsのシニアプロダクトマネージャーやAIを用いてソーシャルメディアの分析を行うAdmasterのテクニカルエヴァンジェリストなどを歴任しました。
またMongoDBというデータベースの中国国内コミュニティを主催したこともあります。
フォビトークン(Huobi Token)のその他主要人物について
フォビグローバルはHuobi Japan(フォビジャパン)という日本法人が存在し、仮想通貨交換業を営んでいます。フォビジャパンにはフォビトークンが上場しています。
フォビジャパンのCEOを務めているのが陳海騰(チン・カイトウ)氏という人物です。チン氏は中国福建省の厦門出身で、厦門理工大学日本語学科を卒業後、中国国際旅行社の日本部部長を務めます。その後日本に留学し、神戸大学で経済学の修士号を取得しました。
修士号取得後はNTT西日本やインデックス中国厦門支社などを転々とし、2006年には中国最大の検索エンジンBaidu(バイドゥ)を運営する百度株式会社の代表取締役、日本駐在首席代表に就任。2013年には人材紹介会社JOB123を立ち上げています。
2018年にはフォビジャパンのCEOに就任。一時は会長を務め、2019年9月からは再びCEOを務めています。
チン氏は中国・日本双方に強いネットワークを有し、両国のビジネスの橋渡しとなることができる人物です。2009年には中国の富裕層を日本に多く誘致したことが評価され、国土交通事業の一環であるYOKOSO!JAPAN大使に任命されました。また日本で最大の華人経済団体である日本中華総商会の2013年度の幹事を務めたこともあります。
フォビトークン(Huobi Token)の発行方法、発行条件
フォビトークンは2018年1月に公開された時点で、上限発行量の5億HTまで発行されています。追加発行の予定はありません。
ただし発行された分すべてが市場に流通しているわけではありません。まず5億HTのうち20%にあたる1億HTは運営チームへの報酬として支払われました。更に1億HTはフォビグローバルに残され、プラットフォームの運営費やユーザーへの奨励金などに充てられます。そして残りの3億HT、全体の6割に当たる量が市場に流通しています。
フォビトークンは当初Huobi Pro(フォビプロ)という仮想通貨取引プラットフォーム上で購入したポイントパッケージに応じて配布されました。その後フォビグローバルをはじめとする仮想通貨取引所で上場されました。
またフォビトークンは流通量をコントロールし、価格を安定させることを目的に毎月トークンをバーン(焼却)しています。バーンの量は前月の収益の20%と決められており、焼却量や履歴が公開されています。
2021年6月現在、市場のフォビトークンの総量は約2億3000万HT、そのうち流通している量は約1億8500万HTです。
フォビトークン(Huobi Token)のコンセンサスアルゴリズム
フォビトークンはイーサリアムが公開するトークン規格であるERC20を用いて開発されたトークンです。独自のブロックチェーンではなく、イーサリアムのブロックチェーン上で動作し、送金や決済もイーサリアムのブロックチェーンに記録されます。
送金記録の承認もイーサリアムのブロックチェーンで行われるため、フォビトークンのコンセンサスアルゴリズムもイーサリアムに準拠したものとなっています。
メリット
ERC20を用いて仮想通貨を開発するメリットとしては、まず利便性の高さが挙げられます。仮想通貨をゼロから開発する場合、発行などを管理するためのスマートコントラクトの記述や、既存のウォレットなどに互換性を持たせるのが高いハードルとなっています。
その点、ERC20を用いればイーサリアムのスマートコントラクトを簡単に導入することが可能です。イーサリアムはサードパーティアプリケーションの開発も積極的に行われており、ERC20であれば多くの人が新たにウォレットをインストールすることなく利用できます。
またイーサリアムは送金の処理を高速で行うことができます。理論上、イーサリアムは15秒に1度ブロックを承認するため、ビットコインなどよりも高速で送金可能です。
ERC20を用いて開発すれば手軽にイーサリアムの高速送金を利用した質の高いサービスを提供できるのです。
デメリット
一方ERC20を利用することにもデメリットはあります。まずトークンの価格がイーサリアムの価格変動に依存してしまう点です。
ERC20で開発されたトークンを送金するにはイーサリアムを手数料(GAS代)として支払う必要があります。もしイーサリアムが高騰すれば、そのトークンの利用に関係なく手数料が高くなってしまいます。手数料が高くなればトークンの利用が鈍り、価格に悪影響を及ぼすかもしれません。
またイーサリアム自体のGAS代も徐々に高騰しています。イーサリアムやイーサリアムのスマートコントラクトを利用されて開発されたdApps、ERC20を利用したトークンの利用が拡大することでイーサリアムのブロックチェーン上で記録されるトランザクションの量が増大しているのです。
イーサリアムではGAS代の高騰を回避するためにコンセンサスアルゴリズムをPoW(Proof of Work)からPoS(Proof of Stake)に移行するほか、シャーディングという処理能力を向上する技術の導入が予定されています。
更にERC20にはセキュリティに欠陥があります。これまでに少なくとも300万ドルもの盗難被害が報告されており、ERC20を利用するときにはこの欠陥をカバーしなくてはなりません。現在はERC20の欠陥を克服する新しい規格も登場していますが、未だにERC20が最も人気の高い規格です。
フォビトークン(Huobi Token)のプロジェクトポリシー(発足の目的・背景など)
フォビトークンは仮想通貨取引所Huobi Global(フォビグローバル)が発行する、俗に言う取引所トークンのひとつです。
取引所がトークンを発行する例は珍しくありません。世界でも屈指の仮想通貨取引所であるバイナンスはBinance Coin(バイナンスコイン)という仮想通貨を発行しています。
ほかにもBitfinex(ビットフィネックス)が発行するUNUS SED LEO(ウヌス・セド・レオ)、OKEx(オーケーエックス)が発行するOKB(オーケービー)などが代表的です。日本でも、かつて仮想通貨取引所Zaif(ザイフ)を運営していたテックビューロ株式会社がZaifトークンを発行しています。
取引所トークンは、仮想通貨取引所が独自の経済圏を構築するために発行するものです。フォビトークンも例外ではありません。
フォビトークンは保有者に対して主に4つの機能を提供しています。
ひとつが送金・決済機能です。フォビトークンの利用者は、イーサリアムのブロックチェーンを利用した送金・決済が可能です。フォビトークンの利用者間だけでなく、外部のアプリケーションや企業・団体などにもフォビトークンによる決済を受け付けているところがあります。またフォビトークンによる寄付ができるところもあります。
もうひとつが取引機能です。フォビグローバルは法定通貨のほかにフォビトークンでビットコインやイーサリアムなど各種仮想通貨を購入することができます。フォビトークンの保有量やフォビグローバル内での取引量に応じて、手数料が割引されます。
最後が投票機能です。フォビトークンの保有者はフォビグローバルが実施する投票に対しての投票権を得られます。フォビグローバルは新規上場銘柄を決める投票を実施しており、投票した銘柄の上場が決まれば、通常よりも割引された価格で購入することが可能です。
もし投票した銘柄の上場が決まれば、投票に利用したフォビトークンはバーンされます。しかし投票した銘柄が上場されなければ、トークンは戻ってくる仕組みです。
またフォビトークンの保有者はガバナンス投票に参加可能です。フォビトークンのコミュニティはトークンの運用に関して意見を提出し、投票で可否を問います。投票の結果、支持率が過半数を超えれば意見が可決されるという段取りです。
上記4つの機能に加え、フォビグローバルが提供するサービスでフォビトークンを利用することで様々な恩恵を得られます。クロスマージン方式のレバレッジ取引をする際にフォビトークンを担保にできるほか、OTC取引(店頭取引)においてフォビトークンで手数料を支払えば、割引を受けられます。
フォビトークンはステーキングにも利用可能です。フォビグローバルでフォビトークンをロックアップすると、Huobi Pool Token(フォビ・プール・トークン)という別の独自トークンを受け取れます。
フォビトークン(Huobi Token)のアライアンス、過去のビッグニュース
最後にフォビトークンに関する過去の大きなニュースを紹介します。
2020年6月16日 仮想通貨取引所Huobi Japan(フォビジャパン)がフォビトークンの取り扱いを開始
この日、Huobiグループの日本法人であるHuobi Japan(フォビジャパン)がフォビトークンの取り扱いを開始したことを発表しました。
フォビグループは2018年9月に仮想通貨取引所BitTrade(ビットトレード)を買収し、2019年2月からフォビジャパンに社名を改めて日本国内向けに仮想通貨交換業を提供していました。
海外向けのフォビグローバルはフォビトークンを含め、200種類以上の仮想通貨を上場させています。しかし日本は仮想通貨に対する法規制が厳格であるため、フォビジャパンではそれまで6種類しか仮想通貨を上場させておらず、フォビトークンも取り扱えませんでした。
フォビジャパンは2020年4月にフォビトークンを同年5月以降に上場させる方針であると事前に報告しており、6月にようやく取り扱いにこぎ着けた形です。
残念ながら日本国内ではフォビトークンは制限され、一部の機能しか利用できません。
2020年12月21日 Huobi ECO Chain(フォビ・エコチェーン)のメインネットがローンチ
この日、フォビグループは独自のブロックチェーンであるHuobi ECO Chain(フォビ・エコチェーン)のメインネットのローンチを発表しました。
フォビ・エコチェーンはイーサリアムのスマートコントラクトに互換性を持ったパブリックチェーンです。イーサリアムからフォークする形で開発されたため、イーサリアムと同様にスマートコントラクトを開発することができます。
フォビ・エコチェーンはDeFi(分散型金融)に着目したブロックチェーンで、公開からわずか3か月で50を超えるプロジェクトが進行しています。分散型取引所MDEXがローンチするほか、今後は他のDEXやレンディングサービス、流動性マイニングなど、DeFiサービスが実装される予定です。2021年4月には仮想通貨リップルとのクロスチェーンの接続に成功しました。
フォビ・エコチェーンはネイティブトークンとしてフォビトークンを採用しています。今後はフォビ・エコチェーンの盛り上がりによって、フォビトークンの高騰が期待されます。