イーサリアムセカンドレイヤーとは?
セカンドレイヤーとはイーサリアムのスケーラビリティ問題を解決するために開発されている技術で近年注目を集めています。
仮想通貨市場が再度盛り上がりを見せていることや、NFTや分散型金融(DeFi)などイーサリアム上のアプリケーションの利用者が急増していることから、手数料の高騰や処理の遅延が深刻な問題となっています。
具体的な仕組みとしては、取引の処理をイーサリアムのメインチェーンとは別のチェーンで行うことによってネットワークへの負担を軽減させています。この手法はメインチェーンで処理を行うオンチェーンと対比してオフチェーンと呼ばれています。
クレジットカードのVISAは1秒あたり1,700件の取引を処理しているのに対し、イーサリアムは15件ほどとなっており、その差は歴然です。この問題を解決するために、オフチェーンで計算を行い、結果のみをメインチェーンに記録するのがセカンドレイヤーとなっています。
セカンドレイヤーの使い方
セカンドレイヤーはブロックチェーン自体の処理能力を引き上げる技術のため、活用方法は非常に多岐にわたります。
イーサリアムのセカンドレイヤーとして有名なものにライデンとプラズマというものがあます。これらはそれぞれ、プライベートチェーンの構築やマイクロペイメント(少額決済)などに活用されています。
また、直近では後述するArbitrum OneやOptimismなどのプロジェクトも登場してきており、参入するプレーヤーは増加傾向にあります。
利用手順としては、まずセカンドレイヤーに取引に使用する資金を入金します。そこからセカンドレイヤー上で分散型取引所(DEX)やNFTなどのアプリケーションにアクセスし、通常通り利用できます。
この際に行われた取引の処理はセカンドレイヤー上で行われるため、手数料は直接アプリケーションを使う場合と比べて大幅に節約できる点がメリットとなっています。
セカンドレイヤーのプロジェクト例
セカンドレイヤーはイーサリアムの創設者、ヴィタリック・ブテリン氏もイーサリアムに必須の技術だと認めるほどに重要な役割をになっており、今後も多くのプロジェクトが登場すると予想されます。
ここでは直近で大きな話題を呼んだプロジェクトを2つご紹介します。
Arbitrum One
Arbitrum Oneは名門プリンストン大学のコンピューターサイエンス学科出身の3名により設立されたプロジェクトです。セカンドレイヤーを活用して、様々なDappsをより安価かつスムーズに利用するためのソリューションを開発しています。
2018年に創業し、2019年にはCoinbase VenturesやPantera Capitalなど大手VCから370万ドル(約4.2億円)の出資を受けています。また、2021年9月にはメインネットのローンチと合わせて1.2億ドル(約137億円)の追加調達を発表しました。
大手分散型取引所のUniswapが既にArbitrum Oneのネットワーク上で展開されていることが報じられている他、350を超えるプロジェクトが参加を希望しているとされています。
Optimism
Optimismもイーサリアムのセカンドレイヤーの有力候補として名前が上がるプロジェクトです。こちらもArbitrum Oneと同じOptimistic Rollupという仕組みが使われており、取引にかかる手数料や処理スピードを改善するためのソリューションとなっています。
Optimisticの特徴としてはワンクリックで開発のさまざまな工程が完了すること、コードを限りなく簡素化しているため、軽量である点などが挙げられます。
2021年7月にメインネットのローンチを行っており、既に分散型金融プロジェクトでの利用も開始されています。Arbitrum One同様に多額の資金も調達しており、2021年2月に25億ドル(約289億円)の資金調達が報じられています。
セカンドレイヤーの需要について
上で紹介した2つのプロジェクトからもわかるようにセカンドレイヤーには大きな期待が集まっており、資金もかなりの額が集まるのが現状です。
預入資産額がトップのPolygonには記事執筆時点で48億ドル(約5,490億円)、次ぐAvalancheには45億ドル(約5,147億円)が集まっています。
セカンドレイヤーに預けられている資産の総額は2021年年初に比べて10倍以上に増加しており、一週間で50%以上増加しているプロジェクトも珍しくありません。
仮想通貨市場が盛り上がるにつれ、イーサリアムネットワークの混雑が予想されるため、今後もセカンドレイヤーの需要は高まると見られています。