リスク(Lisk)の概要
LSKの概要 | ||
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基本情報 | 仮想通貨名 | リスク(Lisk) |
ティッカーシンボル | LSK | |
発行開始年月 | 2016年5月 | |
主な利用用途 | 送金・決済・プラットフォームの構築・dApps(分散型アプリケーション)の開発 | |
発行状況 | 発行主体 | プログラムによる自動発行 |
発行方法 | ブロックチェーンの追記作業(フォージング)に対する報酬として新規発行される | |
上限発行量 | なし | |
発行可能数の変更 | 不可 | |
発行予定・発行条件 | 1ブロックを生成するごとに、デリゲートへの報酬として発行される。ブロックは10秒に1度生成され、報酬はすべてのデリゲートに支払われる。 | |
価格移転記録 | コンセンサスアルゴリズム | DPoS(Delegated Proof of Stake) |
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リスク(Lisk)の発行主体(財団など)について解説
リスクに発行主体はありません。スイスのツークにあるLisk Foundation(リスク財団)がリスクの開発に必要なプロトコルをオープンソースで公開しており、すべての人がリスクの発行に携わることができます。
Lisk Foundationはリスクのブロックチェーンを公開するだけでなく、リスクの研究・開発やLisk Builders Program(リスクビルダーズプログラム)という、リスクの開発者向けの資金提供を行っています。
リスク(Lisk)のCEOについて
2021年5月現在、Lisk FoundationのCEOを務めているのはリスクの開発者のひとりであるマックス・コルデック氏です。
マックス・コルデック氏は1991年にドイツのアーヘンで生まれ、アーヘン工科大学で電気工学を学びました。2014年にビットコイン、ライトコインのマイニングに参加することで初めて仮想通貨に携わります。
大学在学中にNxt、Cryptiといったブロックチェーン開発プロジェクトに参加したマックス・コルデック氏は、2016年に大学を中退。リスクを設立します。
同じ年、マックス・コルデック氏はブロックチェーン開発スタジオLightcurve(ライトカーブ)をベルリンに設立しました。
リスク(Lisk)のCTOについて
Lisk FoundationのCTOを務めているのは、オリバー・ベドウズ氏です。オリバー・べドウズ氏はマックス・コルデック氏と共にリスクを開発しています。
オリバー・べドウズ氏はWebベースのeコマース(インターネット上でものを売買する取引形態)の開発に15年以上携わってきた、ベテランのフルスタックエンジニアです。フルスタックエンジニアとは設計から開発、運用にわたるまでの複数の開発分野をすべて手がけることができるエンジニアを指します。
仮想通貨分野にも関与しており、2015年にはツールの開発者としてCryptiの開発に参加。その際にマックス・コルデック氏と知り合い、リスクを開発します。
以後オリバー・べドウズ氏はLisk FoundationのCTOとしてリスクの基盤となるような機能の開発に従事しています。
リスク(Lisk)のその他主要人物について
リスクという仮想通貨は、日本ではまだまだ知名度は高くありません。購入できる仮想通貨取引所もコインチェック(Coincheck)、ビットフライヤー(bitFlyer)、GMOコインの3つのみです。
2019年7月には日本のコミュニティがLiskJapanという情報サイトを立ち上げ、積極的な発信を行っています。
今後リスクが日本での知名度を上げるうえで重要な存在となるのが、遠田秀説氏です。遠田秀説はLisk Foundationに所属する唯一の日本人で、日本最大手の仮想通貨メディアであるCoinpostに登場したこともあります。
遠田秀説氏はカナダ、アメリカで大学を卒業し、2013年にサイバーエージェントに入社。2016年までエンジニアとしてゲームの開発に従事します。その後APCommunicationsという会社の誘いでドイツへ行き、Lisk Foundationへ入社しました。
遠田秀説氏はバックエンドエンジニア(利用者からは見えない部分の開発者)としてLisk Foundationの開発チームに参加しており、講演活動なども行っています。
リスク(Lisk)の発行方法、発行条件
リスクは公開時のICOとプログラムによる自動発行によって新規発行されます。
ブロックが新規発行されるたびに、取引データを承認するデリゲートと言われる利用者に新規発行されたリスクが報酬として新規発行されます。
リスクにはビットコインのように上限発行量が存在しません。上限発行量の存在しない仮想通貨は発行量の過多によってインフレを起こし、価格が下落するおそれがあります。
そのためリスクでは300万ブロックが生成されるごとに新規発行量を1LSKずつ減少させることで将来的な下落を回避しようとしています。10秒で1つブロックが生成されるため、10秒×300万=347日、すなわち約1年に1LSKずつ減少する計算です。
2016年に公開された当初は新規発行量は5LSKでしたが、2020年10月以後は1LSKで固定されています。
リスク(Lisk)のコンセンサスアルゴリズム
リスクはDPoS(Delegated Proof of Stake)というコンセンサスアルゴリズムを採用しています。DPoSはPoS(Proof of Stake)を発展させたものです。リスクの保有量に応じて承認する権利ではなく、デリゲートという取引の承認者を決めるための投票権を与えられます。
代議士を選出して私たちの代わりに政治をしてもらう、日本の選挙制度に近い仕組みです。
デリゲートは101人選出され、それぞれが決められた順番でブロックを承認。取引手数料と新規発行されたリスクを受け取ります。
リスクではデリゲートを決める投票のことをヴォーティング(Voting)、デリゲートが取引を承認し、リスクが新規発行されることをフォージング(Forging)と呼んでいます。
メリット
DPoSのメリットは承認者を限定することで承認プロセスを少なくし、取引データの承認を迅速に行える点にあります。DPoSを採用することで、リスクは承認速度を10秒にまで抑えられています。
またDPoSはヴォ―ティングやフォージングに特別なマシンが必要ありません。そのため環境への負荷も小さいです。
更にDPoSは他と比べてより民主主義的なコンセンサスアルゴリズムと言えます。間接的とは言え、より多くのネットワーク参加者がヴォーティングを通して取引データの承認に関与することが可能です。
デメリット
一方DPoSは承認者を限定する分、不正を働くリスクが高くなってしまうというデメリットがあります。
複数の人々が団結して大量の通貨を保有することで意図的にデリゲートを選出し、不正な取引を承認させることが可能です。デリゲートは101人いるため、多く選出すればするほど不正の規模が大きくなってしまいます。
不正のリスクをなくすためには、不正を働いたデリゲートを追放する仕組みを組み込むなどの対策を施す必要があります。
リスク(Lisk)のプロジェクトポリシー(発足の目的・背景など)
リスクはスマートコントラクト技術を活用し、分散型アプリケーション(DApps)を開発するためのプラットフォームとして開発されました。
正確にはリスクとはプラットフォームの名称で、プラットフォーム内の手数料として機能する内部通貨はLSKと言います。しかし日本では両者をまとめてリスクと呼んでいます。
リスクの開発者であるマックス・コルデックとオリバー・べドウズは元々Cryptiというプラットフォームの開発を行っており、リスクはCryptiからフォークする形で作られました。
リスクと同じくDAppsを開発するためのプラットフォームとしては、イーサリアムが有名です。イーサリアムはリスクよりも先に公開され、現在では広く開発が進められています。
リスクとイーサリアムの違いは2点あります。
まずリスクではサイドチェーンを使ってスマートコントラクトを記述し、DAppsを開発できます。Lisk FoundationはLisk SDK(Lisk Sidechain Development Kit)というサイドチェーン開発ツールを公開しています。
サイドチェーンとは本来一本道であるブロックチェーン(メインチェーン)に枝分かれする形でつなげることで機能拡張を図るものです。
イーサリアムではメインチェーン上にDAppsを開発するためにブロックチェーンへの負荷が大きくなり、処理能力に悪影響を及ぼすことが懸念されていました。
リスクはサイドチェーンにDAppsを開発するためメインチェーンへの負荷を分散し、最小限に抑えることができます。メインチェーンの処理能力も維持されます。サイドチェーンに何か起きても、メインチェーンに影響することはありません。
またサイドチェーンの開発はネットワークへの参加者を限定させたり、コンセンサスアルゴリズムを変更させるなど、自由度が高い点も特徴です。
もう1点が開発言語です。イーサリアムでDAppsを開発するには、Solidityという専門のプログラミング言語を使わなければなりません。そのため開発者が限定されてしまいます。
一方リスクは開発言語としてJavaScriptを採用しています。JavaScriptはウェブサイトからデスクトップアプリ、モバイルアプリなど多くの分野で使われる、一般的なプログラミング言語のひとつです。書店でも解説書が置かれています。
リスクはより一般的な開発言語を採用することでDApps開発への障壁をなくし、多くの開発者が参加しやすい仕組みとなっているのです。
Lisk Foundationはリスクについて「Lisk set itself the goal to make blockchain technology accessible for a future in which everyone benefits from it.(リスクは、将来的に誰もがその恩恵を受けられるよう、ブロックチェーンのテクノロジーを身近なものとすることを目標に定めている)」としています。
サイドチェーンと開発言語という点を活かし、リスクはよりDAppsを普及させようとしているのです。
リスク(Lisk)のアライアンス、過去のビッグニュース
最後にリスクに関連する過去の大きなニュースを紹介します。
2016年3月16日 マイクロソフト(Microsoft)とのパートナーシップを締結
仮想通貨分野でリスクが最初に話題になったのが、ICOに先立たれて発表されたマイクロソフトとのパートナーシップの締結です。この発表によりリスクは市場での期待感が一気に高まり、ICOで約19億円もの資金を得ることに成功しています。
このパートナーシップによってリスクはマイクロソフトの提供するAzureBlockchain as a Service(BaaS)上でリスクの開発を進めることができます。
BaaSはマイクロソフトが提供するAzureというクラウドサービス上でブロックチェーンの開発が可能になるサービスです。BaaSを利用することでブロックチェーンを利用したアプリを簡単に作ることができます。世界的な大企業が提供するだけあり、多くの開発者が利用しています。
BaaS上でリスクの開発ができるということは、それだけ多くの開発者の目にリスクが止まる可能性が高まるということです。今後のアップデート次第では新たな展開も期待できるでしょう。
2018年2月20日 リスクのリブランディングを実施
この日、リスクはリブランディングを実施し、ロゴやウェブサイトのデザイン、デスクトップアプリケーションに至るまですべてを一新しています。特にウォレットアプリはインタフェース面から完全にゼロから再構築されました。
またLisk Foundationはリブランディングに際し、アクセシビリティの改善を目指し、新しい構想を立ち上げました。
ひとつがより質の高いサイドチェーンを開発するための基金の立ち上げです。Lisk Foundationは既にシステム内で開発を進めるユーザーのために5000から50万ユーロの支援を行う基金を設立しました。
もうひとつが、フィンテック技術を学ぶためのアカデミーを設立する構想です。Lisk Foundationはブロックチェーンやフィンテックなどを基礎から伝える拠点を通して、新規ユーザーのリスクへのアクセシビリティを向上させようとしました。
2020年1月9日 コインチェック(Coincheck)がリスクのステーキングサービスを開始
この日、仮想通貨取引所コインチェックが世界で初めてリスクのステーキングサービスを開始することを発表しました。コインチェックはこのステーキングサービスをベータ版と銘打ち、実証実験の一環として行うことを発表しています。
リスクはDPoSを採用しており、保有量に応じて与えられた投票権を使ってヴォーティングをし、選ばれたデリゲートがフォージングをすることで取引を承認して報酬を受け取ります。
ステーキングサービスはこの仕組みを利用したものです。まず取引所が利用者からリスクを預かります。取引所は集まったリスクによって多くの投票権を手に入れ、任意の利用者にヴォーティングします。
そして取引所のヴォーティングによってデリゲートに選ばれた利用者はフォージングで得た報酬の一部を取引所に渡し、取引所は更にその一部をステーキングサービスの利用者に還元するのです。
ステーキングサービスの利用者は預けた量に応じて、一定の利率でリスクを受け取ります。そのため銀行預金に近い感覚でサービスを利用できます。
2020年1月22日にはステーキングサービスによる報酬の分配が初めて行われ、2021年5月現在もサービスは順調に提供されています。
コインチェック(Coincheck)の登録で分からないことがあったら【コインチェック(Coincheck)口座開設、登録、本人確認方法】を参考にしてください。