イーサリアムクラシック(Ethereum Classic)とは?「The DAO事件」から誕生したプロジェクトを徹底解説!

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イーサリアムクラシック(Ethereum Classic)の概要

ETCの概要
基本情報仮想通貨名イーサリアムクラシック(Ethereum Classic)
ティッカーシンボルETC
発行開始年月2016年7月23日
主な利用用途Dappsのプラットフォーム、IoT分野
発行状況発行主体プログラムによる自動発行
発行方法マイニングに対する報酬として新規発行される
上限発行量約2億1,000万枚
発行可能数の変更
発行予定・発行条件1ブロックにつき5.21745ETC(1ブロックは14.4sで生成)
価格移転記録コンセンサスアルゴリズムPoW(プルーフオブワーク)

 

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イーサリアムクラシック(Ethereum Classic)の発行主体(財団など)について解説

前提として、イーサリアムクラシックの新規発行はマイナーへの報酬という形で、プログラムによって行われています。その上で、方針の変更が必要になった際には特定の団体が運営方針を決めるのではなく、コミュニティの意思表示によって方針を決定します。

 

イーサリアムクラシックにおいて、このような非中央集権の価値観は特に重要視されているところです。しかし、それでも中心的役割を果たしている団体は存在し、ETCラボ(ETC Labs)がその役割を担っていると言えます。

 

イーサリアムクラシックは、よく比較されるイーサリアムと比べ、開発者の数が少ないという問題を抱えていました。そこで、この問題に対応するために開発体制の強化を図るべく、起業家や技術者の育成・支援のため約55億円を投じて開設されたのが、ETCラボです。ETCラボは、後述するアルタモノフ氏やホスキンソン氏ら、有識者からのアドバイスも受けられるプロジェクトとなっています。

 

ETCラボ

 

イーサリアムクラシック(Ethereum Classic)のCEOについて

イーサリアムクラシックには明確な管理団体はありませんので、CEOはいません。

 

イーサリアムクラシック開発の主要人物として、ETCラボのテリー・カルバーCEOがいます。カルバー氏はイーサリアムクラシックの理念である非中央集権の思想にも忠実で、保有するコインの数によってマイニングの権利を得る非中央集権から少し離れるPoS(プルーフオブステーク)への移行に関して、PoWの機能に満足しておりPoWを継続していくという旨を話しています。

 

イーサリアムクラシック(Ethereum Classic)のCTOについて

管理団体はないので、CTOに当たるものもありません。

 

テクノロジーの重要人物として、イーサリアムクラシックの開発会社ETCDEVのCTOであり創設者のイゴール・アルタモノフ(Igor Artamonov)氏について触れておきます。同氏はETCラボでアドバイス等を行い開発者の支援を行っており、ETCDEVでは、「SputnikVM(イーサリアム仮想マシン)」、「Emerald Wallet(仮想通貨ウォレット)」といったサービスを開発していました。

 

しかし、2018年12月にイーサリアムクラシックのリード開発会社であったETCDEVは、当時の仮想通貨市場の低迷による資金難のため、活動を停止しました。

 

イーサリアムクラシック(Ethereum Classic)のその他主要人物について

チャールズ・ホスキンソン(Charles Hoskinson)…ブテリン氏と共にイーサリアムを開発した人物です。

ETCラボのプロジェクトに賛同し、イーサリアムクラシックの開発に参加したことで強力なサポーターとなります。また、カルダノ(ADA)という仮想通貨を作ったことでも知られ、香港に拠点を置く研究機関であるインプット・アウトプット・ホンコン(IOHK)のCEOを務めています。

 

ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)…イーサリアムの生みの親とされる人物です。

同氏は大学在学中に、ビットコインの研究に熱中したことで仮想通貨の道へ進んでいくこととなります。その後大学を辞め、イーサリアムの開発を本格的に開始。イーサリアムの着想当初から「スマートコントラクトのプラットフォーム」というイーサリアムの特徴であり、最大の強みを構想していました。このシステムは、イーサリアムから分裂したイーサリアムクラシックにも引き継がれる重要な基幹技術となっており、同氏はイーサリアムクラシックにとっても重要人物ということができるでしょう。

 

イーサリアムクラシック(Ethereum Classic)の発行方法、発行条件

イーサリアムクラシックはプログラムによる自動発行であり、マイナーがブロックを生成するごとに報酬として新規発行されます。得られる報酬は、1ブロックにつき5.21745ETC(1ブロックは14.4秒で生成)となっています。

 

また、イーサリアムクラシックには採掘が進むにつれて報酬が減少していく半減期が設定されており、2019年10月時点では、500万ブロックが形成されるごとにマイニング報酬が20%減っていきます。

 

イーサリアムクラシック(Ethereum Classic)のコンセンサスアルゴリズム

コンセンサスアルゴリズムは承認のための計算方法という意味で、イーサリアムクラシックではビットコインなどと同様、PoWを採用しています。一方でイーサリアムはPoSへ移行の予定です。

 

まず、ブロックチェーンにはマイニングが必須の作業となってきますので、ビットコインでもイーサリアムでもマイニングを行っています。マイナーがブロックの承認作業をすることによって、新しいブロックをブロックチェーン追加していき、管理者不在の分散型台帳の仕組みを実現しています。

 

・PoW(プルーフオブワーク)…PoWでは正しい「ナンス」という値を他のマイナーよりも先に見つけるという計算を競って行わせることで、ブロックチェーンを形成していきます。最初に見つけたマイナーに報酬が与えられるため、報酬を得るには他のマイナーよりも多くのマイニング作業を行う必要がある仕組みです。

 

・PoS(プルーフオブステーク)…PoSはコインを多く保有しているマイナーにマイニングの権利が多く与えられ、同時に信用力が高いとみなされます。したがって、PoWのときのようなマイニング競争は起きませんが、公平性やインセンティブの面で不安が残ります。

 

PoWはPoSと比べ、より非中央集権的で、その点イーサリアムクラシックの理念に沿っていると言えます。では次に、PoWとPoSを比較したときのメリットとデメリットを見ていきます。

 

メリット

・ブロックチェーンの当初の価値観である非中央集権を忠実に守ることにより、公平な仕組みを実現できます

 

・マイナーへの信頼に依存しないことにより、強固なセキュリティを実現できます。

 

改ざんが起きにくいことには2つの理由があり、

 

1つ目はPoWで改ざんを行おうと考えると、改ざんしたいデータが入っているブロックと、次々と生成されていく新しいブロックを含めた、それ以降のブロックを全て計算し直さなければならず、これには現実的に不可能な処理能力を必要とします。このようにデータを改ざんすることは極めて難しいことです。

 

2つ目に、そもそも上記のような苦労をするよりも、マイニングに参加した方が利益が出るように報酬が設定されているということがあります。

 

デメリット

・採掘速度の50%より多くの処理能力を保有することで、理論上、悪意のマイナーによる介入の可能性を持っています。

 

・膨大な消費電力が環境問題になっており、2018年の時点で、マイニング作業だけで世界で消費される電力の0.5%にも達していると指摘されています。PoWはマイナーを競争させるため、非常に多くの電力を消費します。

 

・実態として、マイニング作業は非常に高い処理能力を要求されるため大きな組織でないとマイニング競争に勝つことは難しく、その状態が続けば、一部の組織しかマイナーになれません。それでは目指している非中央集権が実現できないのではないか、という懸念があります。

 

イーサリアムクラシック(Ethereum Classic)のプロジェクトポリシー(発足の目的・背景など)

イーサリアムクラシックは後述の「The DAO事件」により誕生しました。この事件の対応策を巡り意見が分かれ、現在のイーサリアム側はハッキング以前の状態に戻すアップデートとハードフォークを行い、今のイーサリアムとなっています。

 

しかし、この対応は管理者が自分の意思を反映するという、本来ブロックチェーンが持っていた思想とは異なるものであるため、反対意見も出ます。

 

この対応に反対したグループ(全体の10%程)は、ハッキングされたチェーンを継続するよう主張し分裂、その結果イーサリアムクラシックが誕生しました。したがって、元々のイーサリアムチェーンを使用しているのはイーサリアムクラシックの側であり、そのことは「伝統的」であるという名前にも反映されています。またこのような経緯から、「非中央集権」という体質を強く持つようになります。

 

ですが、イーサリアムクラシックのグループは人数も少なく、さらには生みの親であるブテリン氏が現イーサリアム側に立ったことから、世間から支持されたのはイーサリアムの方でした。

 

こうしてイーサリアムとイーサリアムクラシックは、スマートコントラクトのプラットフォームという同じ特徴を持った仮想通貨でありながら、異なる道を歩むことになっていきます。イーサリアムクラシックはイーサリアムとは違った強みを持つことに力を入れており、近年ではIoTの分野などに活路をみい出そうと動いています。

 

イーサリアムクラシック(Ethereum Classic)のアライアンス、過去のビッグニュース

The DAO事件

イーサリアムクラシックの誕生のきっかけになった出来事であり、この事件はイーサリアムのみならず、仮想通貨の歴史においても重大な事件と認識されています。

 

The DAOは、イーサリアムブロックチェーン上の自立分散型投資組織であり、投資先を参加者の投票で決め、その利益を分配するということを行っていました。また、The DAOは非中央集権と透明性に価値を置いた仕組みの組織でもあります。

 

投票結果に賛成できない場合、預けた資金をDAOと切り分け、新しく生成できる仕組みがありこれをスプリットと言います。ここに問題があり、一度で完了すべきところが、繰り返しスプリット出来てしまうというようなバグが存在しました。2016年6月、ハッカーはこのバグを利用し、約360万ETH(約52億円)を盗んだのです。

 

その後、イーサリアムはハードフォークを行い資金の移動を無効にしました。この対応を巡って反発したグループが上記の通りイーサリアムクラシックを作っていくことになります。

 

3度の51%攻撃

51%攻撃とは採掘速度の51%以上の処理能力を保有した際、不正な取引が正当なものとして承認されてしまうことで、通常はインセンティブの面からコインの信頼性を失い価値を下げる行為をするよりも、マイニングの報酬を受け取った方がメリットが大きいので、起こりにくいこととされています。

 

しかし、2020年8月にイーサリアムクラシックはすでに3回目となる51%攻撃を受けました。この攻撃を発見したのは、マイニングを行っているビットフライで、約2日分のマイニングに当たる7000ブロック以上がリオーグ(ブロックチェーン上で取引内容が変更されてしまうこと)され、これに対しイーサリアムクラシック側は、ハッシュレートを安定させるなど攻撃に対処していく方針を発表しました。

 

一連の攻撃を受け、各暗号資産取引所もイーサリアムクラシックの取り扱いについて検討を始めます。オーケーエックスは取り扱い停止の検討を行い、コインベースでは預け入れや引き出しの承認期間を引き延ばすといった措置がとられました。

 

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