2021年3月17日にBITPoint(ビットポイント)が国内の仮想通貨取引所で初めてTRON(トロン/TRX)の取扱を開始しました。国内取引所では海外のように矢継ぎ早に取扱通貨が追加されることがないため、新規上場は注目される傾向にあります。
しかし、上場の話題とは裏腹にTRONの特徴やプロジェクト内容を詳しく把握している人は少ないのではないでしょうか。今回はTRONの創業者やプロジェクトの期待値など徹底的に解説していきます。
TRONは現時点で国内取引所はBITPointでのみ購入できます。初心者の方はまずはBITPointへの登録をおすすめします。
BITPoint(ビットポイント)の登録でわからないことがあったら【BITPoint(ビットポイント)の口座開設、登録、本人確認方法】を参考にしてください。
- TRONはデジタルコンテンツの管理・共有に特化したプラットフォーム
- 創業者のジャスティン・サン氏は名門大学やリップル研究所トップなど華々しい経歴の持ち主
- SamsungやHuaweiなど世界的な大企業と提携済み
- 独自ブロックチェーンおよびTRC-20トークンは幅広く利用されている
TRON(トロン/TRX)とは?
TRONは一言で表すと、デジタルコンテンツを管理するためのプラットフォームです。音楽や動画、ゲームなどのコンテンツをユーザーが簡単に管理・共有できることを目的としています。
トークン概要
TRONはジャスティン・サン氏を中心としたTRON財団により開発された通貨で、2017年に発行されました。時価総額ランキングでもトップ20にランクインしていることから中堅の通貨だと言えます。ICOではあまりの人気から30秒でトークンが売り切れたことでも話題になりました。
プロジェクトのローンチ時はイーサリアムのブロックチェーン上に構築されていたTRONですが、2018年には独自のチェーンへの移行を完了させています。現在TRON財団はERC-20トークンから独自規格のトークンへの移行を行っており、2021年4月時点までで約991億枚のバーン(焼却)が完了しています。
通貨名 | トロン(TRON) |
ティッカーシンボル | TRX |
発行枚数上限 | 1,000億枚 |
発行年 | 2017年 |
取引承認方法 | dPOS |
開発者 | ジャスティン・サン |
時価総額 | 約8,710億円 |
ブロック生成速度 | 約15秒 |
関連ウェブサイト | https://tron.network/ https://tronfoundation.medium.com/ |
創業者ジャスティン・サン氏
TRONが現在の知名度を獲得したのには創業者であるジャスティン・サン氏の功績が深く関わっています。同氏は中国の名門である北京大学を卒業し、米国ペンシルバニア大学にて修士号も取得しています。修士号を取得した2013年には中国で最大の規模を誇る音楽ストリーミングサービスのPEIWOを起業し、起業家としての才覚を発揮しています。
大学卒業後はリップルの中国研究所の第一号社員として採用され、3年間同所の代表として勤めていました。2018年にはアリババ創業者のジャック・マー氏が設立した起業家育成プログラムである湖畔大学に参加しています。
また、サン氏は2019年にウォーレン・バフェット氏とのディナー権を過去最高の約5億円で落札したことで広く世間に知られるようになりました。当初2019年7月に予定されていたディナーはサン氏の腎臓結石を理由に延期され、2020年2月に実現しました。
複数のメディアはサン氏がディナー延期を発表した際に中国当局からの監視下にあるため参加できなかったと報じました。監視の理由としては違法な資金調達や賭博、資金洗浄などの容疑があげられていました。サン氏は自身のSNSアカウントでこの件を否定しています。
さらに、サン氏はNFTアートを史上最高値の75億円で落札している他、1億円以上のNFTアート作品のみを扱う投資ファンド設立などアートへの投資を積極的に行っています。
ICOで見せた圧倒的な人気
TRON(トロン)のICOが中国の取引所Binance(バイナンス)で実施された際には、わずか30秒で完売するほどの人気を見せました。
ビットコインのマイニングを行なうBitmain社の社長で、ビットコインをはじめ仮想通貨の世界で多大な影響力を持つジハン・ウー氏がトロンに投資しているため、大きく注目を集めていたようです。
TRON(トロン/TRX)の特徴
記事冒頭でも紹介したように、TRONはデジタルコンテンツの管理を目的としたプラットフォームです。単なる決済通貨ではなく、TRONのブロックチェーンにはさまざまな機能が備わっています。
音楽やアートを支援するプロジェクト
ユーザーはYoutubeやPixivなどと同様に動画や音楽、絵画などのコンテンツを投稿することができます。従来のプラットフォームでは収入を得るために広告を表示させなければならないため、投稿者が本当に作りたいコンテンツを作れなかったり、釣り動画などが問題視されていました。
TRONのプラットフォーム上ではユーザーが面白いと思った動画に投げ銭としてTRXを送ることで、投稿者はコンテンツのクオリティをあげることに注力できます。
個人でもトークンを発行可能
TRONのプラットフォーム上ではイーサリアムのERC-20トークンと互換性のあるTRC-20トークンを発行することができます。このトークンは誰もが発行できるため、各個人がICOのような形でトークンを販売することもできます。
トークンの使い道としては、作品を作るために資金が必要なユーザーがICOを通して資金を募るなどが考えられます。ユーザーの作品がコミュニティに認められ、知名度が向上すればトークンの価値も上昇するため、投資したユーザーも恩恵を受けることができます。
プラットフォーム上で発行される全てのTRC-20トークンはTRXと相互に交換可能です。
分散型プラットフォームのため、Dappsが利用可能
イーサリアムのネットワーク上からスタートしたTRONはイーサリアムと同様に分散型アプリケーション(Dapps)に対応しています。開発者はTRONのネットワーク上でDappsの開発及び配信が行えます。
Dapps向けプラットフォームとしてはイーサリアムが人気を博していましたが、2019年時点の報道ではTRONの人気が急上昇し、イーサリアムの人気は縮小しているとされていました。その一年後の2020年にはTRONプラットフォーム上のDappsトップ25本のうち17本がギャンブル関連であることが報じられています。
また同年4月にはSamsungが運営するギャラクシーストアにて複数のTRONベースのDappsの配信が発表されました。
TRON(トロン/TRX)のコンセンサスアルゴリズム
TRONのコンセンサスアルゴリズムはプロジェクトの開発状況に応じて変化しており、最終的にはTPoSと呼ばれる独自のアルゴリズムになることが予定されています。プロジェクトローンチ時にはdPoSを採用し、ネットワークから選出された27のノードがブロックの承認を担当します。
その後TRONネットワークのコンセンサスアルゴリズムはPBFTという方式に変化します。このアルゴリズムではデータの送信時にハッシュ関数やシグネチャを利用することで一部のノードが応答しない、もしくは悪意のある動きをしている場合でもネットワークを維持することが可能になります。
ホワイトペーパーコピペ疑惑
仮想通貨界隈ではホワイトペーパーの盗作が多発していますが、TRONもその例に漏れず盗作の疑惑が上がっていました。2018年1月にProtocol Labsの創業者がTRONの英語版のホワイトペーパーの一部がIPFSとFilecoinのホワイトペーパーに酷似していることを指摘しました。
同氏はTRONのホワイトペーパーのうち9ページが他のプロジェクトのものをコピーしているとしました。全ての部分がFilecoinやIPFSのホワイトペーパーを完全にコピーした訳ではないようですが、TRONのホワイトペーパーには参考文献が一つも明示されていないためコミュニティからも疑問視する声が上がりました。
ジャスティン・サン氏はこの問題に対して「ホワイトペーパーは中国語版が原本であり、その他の言語はボランティアによって翻訳されたため複数の箇所が紛失している」と弁明しました。しかし、この主張に反してTRONは中国語版と英語版のホワイトペーパーをウェブサイトから削除しています。
TRC-20トークンの利便性と注意点
TRC-20トークンはイーサリアム上で発行されるERC-20トークンといくつかの共通点を備えています。TRONではイーサリアムのように仮想マシンを利用してスマートコントラクトを動かすことができます。この仮想マシンで使われるプログラミング言語はイーサリアムと同じSolidityが使われているため、TRONネットワーク上で発行されたトークンやスマートコントラクトはイーサリアムと完全な互換性があります。
一方でイーサリアムと異なる点としてコンセンサスアルゴリズムの違いがあげられます。イーサリアムはプロジェクト発足当初からPoW方式を採用しており、トランザクション数が増えることでネットワークの遅延が発生し、手数料も高額になることが問題視されていました。現在はPoS方式への移行を進めている最中ですが、TRONではより効率的なコンセンサスアルゴリズムを採用することで差別化を図っています。
TRON SUN NETWORK
TRON財団は2019年6月にネットワークの性能を拡張するSun Networkを発表しました。このネットワークにはDappChainやクロスチェーンインフラストラクチャーなど複数のプロジェクトが含まれており、ネットワークの容量を向上させるとされています。
Sun NetworkではTRONのメインチェーンに加え複数のサイドチェーンを接続し、処理能力を向上させるとともに消費エネルギーを削減することも可能になります。TRON上のDappsの人気が高まるに連れて、ネットワークの処理能力が逼迫することが問題視されていたため、財団は100倍のスケーラビリティを実現するべくSun Networkを導入しました。
TRON(トロン/TRX)の提携先
TRONが時価総額トップ20にランクインしている理由の一つに提携先の豊富さがあげられます。また、提携先の多くが誰もが知る大企業である点もTRONの知名度向上に一役買っています。
Opera
Webブラウザを開発するOperaは仮想通貨やブロックチェーンに積極的な姿勢を示しています。2018年にはすでに仮想通貨ウォレット機能を追加し、Dappsへの対応も完了しています。2019年5月にはブラウザに搭載されているウォレットでTRXおよびTRC-20トークンをサポートすると発表しました。
Operaブラウザのユーザーは拡張機能や外部のソフトウェアをインストールすることなく、OperaのウォレットでTRXおよびTRC-20トークンを管理できるようになりました。
Bittrent
P2Pファイル共有の元祖として知られるBitTorrentは2018年8月にジャスティン・サン氏によって1億2,000万ドル(約134億円)で買収されました。BitTorrentは1億人以上のユーザーを抱えるとされている大手なだけにこの買収は注目を集めました。
買収から一年後の2019年1月にはBitTorrentの運営がTRC-10規格のBitTorrentトークン(BTT)のローンチを発表しました。このトークンはBitTorrentのエコシステムをより効率的に運用するために使われるとされています。
Binance
BitTorrentの買収により実現したBitTorrentトークンは世界最大の取引所、Binanceを通じて販売されました。2019年1月にBinance Launchpad上で行われたトークンセールでは総発行枚数の6%が販売されました。
開始前から話題になっていたトークンセールはわずか15分で完売しました。現在では取扱のある取引所で購入できる他、それらの取引所でTRXを保有することでも受け取ることができます。
Samsung
Samsungは2019年10月にSamsung Blockchain KeystoreでのTRONのサポート開始を発表しました。この機能はSamsungの販売する端末で仮想通貨を取り扱う際に秘密鍵を安全に保管できるようになっています。秘密鍵はクラウド上ではなく、デバイス内のAndroid OSからもアクセスできない階層に保存される仕組みになっています。
これにより、TRONベースのDappsを10億人のSamsung端末ユーザーに向けて提供しやすくなるというメリットがあります。
Steemit
分散型SNSを運営するSteemitは2020年2月にTronとの提携を発表しました。この提携により独自チェーン上で発行されていたSTEEMトークンがTronのブロックチェーン上へと移行されました。
Steemitは動画投稿プラットフォームやブログなどをブロックチェーン上で展開するプロジェクトで100万人規模のユーザーを抱えています。従来のSNSのように広告から収益を得る仕組みではなく、STEEMトークンを報酬として得られる仕組みで人気を集めています。
BitGo
仮想通貨ウォレット世界最大手のBitGoは2020年9月にTRONと戦略的提携を締結し、ラップドビットコイン(WBTC)とラップドイーサリアム(WETH)をTRC-20トークンとして発行すると発表しました。WBTCとWETHはそれぞれビットコインとイーサリアムに1:1で裏付けられたステーブルコインで、TRONのネットワーク上でこれらの通貨を取引することが可能になります。
TRONのDappsには分散型金融(DeFi)関連のものも多く存在し、これらのエコシステム内で高額なトランザクション手数料を払うことなくビットコインやイーサリアムを取引できます。
テザー社
ステーブルコインとして最も大きな時価総額を誇るUSDTを発行するテザー社は2019年3月にTronのネットワーク上でUSDTを発行することを発表しました。TRC-20トークンとして発行されるUSDTは、他のTRC-20トークンとの互換性やDappsとの連携が可能になるという特徴があります。
USDTはイーサリアムのネットワーク上でも発行されており、各ネットワークにおける需要によってトークンの移行が行われています。
Huawei
大手通信機器メーカーのHuaweiは2020年12月にBitTorrentとの提携を発表しました。この提携により、BitTorrentの提供する4つのサービスがHuaweiのHuawei Mobile Servicesと呼ばれるエコシステムに追加され、30億人以上のユーザーがモバイルデバイスからBitTorrentにアクセスできるようになりました。
Huaweiは米国との関係悪化により複数の問題に直面していますが、数十億人のユーザーを抱えるエコシステム内でBitTorrentへのアクセスが可能になることで多くのユーザー流入が期待できます。
TRON(トロン/TRX)の特徴まとめ
TRONの創業者であるジャスティン・サン氏の経歴や言動もユニークで注目を集めていますが、プロジェクト自体も多くの実績を残しており、仮想通貨界隈での存在感を確固たるものにしています。定期的なネットワークのアップデートやコミュニティとの交流に加え、名だたる大企業との提携などTRONには複数の特徴があり、今後にも期待が持てるプロジェクトとなっています。
TRON(トロン/TRX)は現在国内取引所では、BitPoint(ビットポイント)で購入できます。
初心者の方はまずはBitPointへの登録をおすすめします。
BitPoint(ビットポイント)の登録で分からないことがあったら【BITPoint(ビットポイント)の口座開設、登録、本人確認方法】を参考にしてください。