ファイルコイン(Filecoin/FIL)は2017年に実施された限られた投資家によるICOでは約2億580万ドルを調達しました。
ファイルコインへのシード投資には、Ycombinator、セコイヤキャピタル、スタンフォード大学などが参加していますが、ファイルコインの魅力は何なのか?
これから本格化するWEB3.0時代を支えるIPFSとは何なのか?ファイルコインはどのような仕組みなのか?この記事で概要をわかるようにまとめました。
- ファイルコインはWEB3.0時代を支えるIPFSのエコシステム
- セコイヤキャピタルやスタンフォード大学など多くの著名投資家がシード投資を実施
- CEOのホアンベネット氏はスタンフォード大学卒、Y Combinator出身で技術力・資金調達力に長けている
- ファイルコインはストレージを貸すこと、ファイルの検索を提供することで報酬FILが得られる
ファイルコインの現物は海外仮想通貨取引所バイナンスで購入できます。
ファイルコイン(Filecoin/FIL)概要
通貨名 | ファイルコイン(FILE COIN) |
ティッカーシンボル | FIL |
発行枚数上限 | 20億枚 70%…マイナーへの配布 |
コンセンサス・アルゴリズム | Proof of Storage(プルーフ・オブ・ストレージ) (Proof-of-Spacetime(PoSt)及びProof-of-Replication(PoRep)で構成) |
開発者 | プロトコルラボ社(CEO ホワンベネット(Juan Benet)) |
時価総額 | 約1兆2,823億円(2021年4月10日現在) |
関連サイト | ・公式サイト https://filecoin.io/ ・ホワイトペーパー https://filecoin.io/filecoin.pdf ・Twitter https://twitter.com/Filecoin ・GitHub https://github.com/filecoin-project |
IPFSとは
ファイルコインを語る上で初めに理解しておきたいのは、IPFS(InterPlanetary File System)です。
IPFS(InterPlanetary File System/惑星間ファイルシステム)はProtocol Labs社により開発が進めれられているP2Pネットワーク上で動作するハイパーメディアプロトコルです。IPFSではデータを一つのサーバーで管理するのではなく、データを分解・暗号化し、同じファイルシステムで結びつけ、世界中のコンピュータにて分散管理します。
IPFSを解説する上で、まず今日までのインターネットの歴史をご説明します。
WEB1.0、WEB2.0、WEB3.0
Web1.0 | 1995年頃~2005年(ホームページ時代) |
Web2.0 | 2005年~2018年頃(SNS時代) |
Web3.0 | 2018年頃~(ブロックチェーン時代) |
WEB1.0時代
Windows95の登場により、IT化が加速。Web1.0時代はその時代背景の中スタートしました。
Web1.0時代の特徴は、「一方通行の情報発信」と言われます。当時はウェブ上での相互のコミュニケーションとしては掲示板や電子メールなどがあったものの、ダイアルアップ回線を用いて必要なときにインターネットに接続する従量課金制が一般的でした。ホームページに掲載されている高画質画像を表示させるのに何時間もかかることがあり、常時接続できる環境ではなく、オンライン通話や動画のやり取りなどの相互コミュニケーションには高いハードルがありました。
マクロ経済で考えると、新しい経済領域が生まれ、当時オンラインのインフラを拡充させていった企業を中心にドットコムバブルが起こりました。
WEB2.0時代
2005年、フリーソフトウェアとオープンソース運動の支援者であるティム・オライリーが「Web 2.0」を提唱し、この頃からWEB2.0時代に突入しました。
この時代は「双方向の時代」と言われ、インターネット環境は常時オンライン。フェイスブックやツイッターなどいわゆるSNSが登場し、個人でも気軽に情報発信できるようになりました。
WEB3.0時代への突入と現代ウェブの問題点
いつからWEB3.0時代に突入したのかの時期は曖昧ですが、2021年現在、既にこの時代に突入しています。
WEB2.0時代に、個人の情報発信が容易になったことで多くの方がオンライン上に自身の個人情報を保有しています。それは巨大企業のマーケティングデータとして、個々人の生活を便利に・より豊かにするために活用されています。動画での双方向コミュニケーション・VR・AI・IoTなどの登場とともに、日々やり取りされるデータは大きくなっていき、それに伴いサーバーへの負荷も大きくなっています。それに対応するために通信規格もアップデートされていき(5G)企業が提供するコンテンツはよりリッチになっていきました。
しかし、それは同時にいくつもの問題点を抱えています。
- 個人情報漏洩のリスク
- 中央集権的な管理によるデータ消失のリスク
- アクセス先ウェブサイトが入っているサーバーにデータを参照しに行くため、サーバー負荷などによりアクセスできないタイミングが発生する
私達が日々見ているデータは企業が提供するサーバーに参照しに行くため、サーバーへの負荷も大きくなっており、WEB2.0時代に登場した「クラウドサービス」も、そういった大企業が提供するサーバーにデータを保管しています。それらのデータを保管するサーバーはGAFAMを始めとする大企業の寡占状態となっており、これは上述のようなリスクにさらされています。
これらのリスクを回避するために、上述のクライアント・サーバー方式ではなく、P2P(peer-to-peer)方式でデータをやり取りする、分散型のデータ管理がWEB3.0時代の特徴です。
IPFSの特徴とメリット
前述の通り、IPFSではデータを一つのサーバーで管理するのではなく、データを分解・暗号化し、同じファイルシステムで結びつけ、世界中のコンピュータにて分散管理します。
従来の通信規格であるHTTPでは、主に一つのサーバーにてデータを管理するため、DDoS攻撃などでサーバーがクラッシュしたり、一時的なアクセス負荷でサイトが繋がりにくくなったりといった現象が起こります。
- 分散管理されているIPFSでは、データの起点サーバーというものが無い為そういった問題は起こりません。(耐障害性)
- 同時に、分解・暗号化されているため、容易に改ざんはできなくなっています。(耐改ざん性)
- そして、同じコンテンツを複数のサーバーから取得できる為、もし一つのサーバーがオフライン・遮断状態であっても、他のサーバーからデータを取得してくることが可能なため、データの消失は避けられます。(耐検閲性・負荷分散)
今後、送受信されるデータはますます増えていき、同時にリスクも増えていくため、現在Akamai、Google、Amazon、Netflixなどの大企業でも分散型管理に大量のエンジニアを投入しています。
ファイルコイン(Filecoin/FIL)開発元のプロトコルラボ社とは
プロトコルラボは、2014年にCEOホアンベネット(Juan Benet)氏によって創設されました。IPFSやファイルコインなど次世代のインターネットを支えるプラットフォームの研究開発を行っており、ICOプラットフォームであるCoinListもかつてプロトコルラボからスピンアウトしたプロダクトです。ICO及び資金調達の分野で言えば、SAFTプロジェクトも同社の枠組みです。
米カリフォルニア州のシードアクセラレーターであるY CombinatorのS14プログラムでもあると同時にY Combinatorの出資も受けており、またCEOのホアンベネット氏の母校でもあるスタンフォード大学とも提携しています。
CEO ホアンベネット(Juan Benet)氏
1988年3月16日生まれのアメリカのコンピューター科学者。スタンフォード大学卒。上述の通り、2014年5月にProtocolLabsを設立、2014年夏のY Combinatorのアクセラレータープログラムへの参加を経て、多方面から多くの出資を得ました。
同氏の経歴はこれだけでなく、それ以前はモバイルゲーム開発を行うLoki Studios社のCTOとして2010年1月から2011年12月まで在籍、のちの2013年5月にはLoki Studios社はYahoo!に買収されています。
2018年同氏はIPFSを作成した功績が認められ、フォーチュン誌の「40under40」の一人に選ばれました。
ファイルコイン(Filecoin/FIL)のICOで資金調達額と将来性
上記の経歴もあり、プロトコルラボ社及びCEOのホアンベネット氏は技術力のみならず資金調達にも長けています。
2017年8月に実施されたICOでは、約2億580万ドルを調達し、ICO調達額歴代2位となりました。さらにこのICOの驚くべきは、一般投資家は参加できず、以下の「適格投資家2100名」のみに絞られました。
- 総資産額1億ドル以上の投資家
- 年間で20万ドル以上の利益を出した投資家
そして
- Ycombinator
- セコイヤキャピタル
- スタンフォード大学
- Naval Ravikant氏(ネイバル・ラヴィカント氏…スタートアップとエンジェル投資家をつなぐウェブサイトAngellist創設者)
などが出資することは今後の可能性の裏付けともなり、注目を集めました。
メインネットローンチ前から仮想通貨取引所が次々と取り扱い表明
2020年10月にメインネットがローンチされましたが、それ以前からも出資者であるウィンクルボス兄弟が運営する仮想通貨取引所Gemini(ジェミニ)ではメインネットローンチ後に上場させ、カストデイサービスも始めると表明しました。それに続き、米大手仮想通貨取引所Coinbaseやバイナンス始め大手仮想通貨取引所が上場を発表していました。
Nasdaqのウェブサイトに掲載された「今後ビットコインを超える可能性を持ったアルトコイン3選」
2020年12月9日イギリスの投資家Faisal Humayun氏によって、ナスダックのウェブサイトに今後ビットコインを超える可能性を持ったアルトコイン3選」が掲載されました。
記事内では、仮想通貨をポートフォリオに組み入れることでの分散投資を論じており、SingularityNet(AGI)、Vidt Datalink (VIDT)とともにファイルコインが紹介されています。
ファイルコイン(Filecoin/FIL)上場後の価格推移
上述の通り、ファイルコインは仮想通貨取引所上場前より注目されており、bitforexなどではIOU(先物)での取り扱いがありました。当時15〜20ドル前後で取引がされていましたが、2020年10月15日のメインネットローンチ時には100ドル以上の価格を付けての上場となりました。
その後20ドル〜40ドルの価格レンジが続きましたが、2021年3月17日に米投資ファンドのグレイスケール社が新たにファイルコインを含む投資ファンドの組成を発表したことで大きく値を上げました。その後勢い止まらず、216ドルの最高値を付け、現在調整中です。
価格上昇に影響を与える大手取引所(バイナンス、コインベースなど)への上場は既に完了しているものの、仮想通貨市場への個人投資家や大口投資家の新規参入は次々と表明されています。分散型の時代とも言われるWEB3.0時代のインフラを支えるIPFSの技術とファイルコインの報酬制度への期待は仮想通貨市場の膨張とともに更に高まるものと考えられます。
ファイルコイン(Filecoin/FIL)のマイニングの仕組み
仮想通貨取引所の表明に加え、仮想通貨業界を超えた大手VCやエンジェル投資家からの投資で、ファイルコインの将来性が裏付けられているとも言えますが、そのプロジェクトの仕組みはどうなっているのでしょうか?
上記でファイルコインのネットワークであるIPFSの特徴は解説しましたが、世界中に分散化されたデータを保管するサーバーの管理者にはどのように報酬が割り当てられるのでしょうか?
ファイルコインのエコシステムでは、メインネットへストレージを提供するストレージマイニングと検索機能を提供するリトリーブマイニングによって報酬(FIL)を得られる仕組みとなっています。
ストレージマイニング(Proof of Specetime)
ファイルコインのネットワークにストレージを提供することで報酬FILを得られるストレージマイニング。ストレージ提供者(マイナー)は、空き容量が安定して継続提供されていることや、厳格な参加条件のもとストレージを貸し出しています。
ストレージマイナーはその宣誓及び参加時に担保を預け入れた上でストレージを貸し出しますが、宣誓が守られない、データが紛失する、オフラインでアクセスできなくなるなどが起きた場合には、担保の一部が罰金として没収されます。
そのため、電力の安定したデータセンターにて、24時間365日有人管理されている状態でなければマイナーとしての利益は充分に出せないと言えます。
リトリーブマイニング(Proof of Replication)
リトリーブマイニングは、分割されたデータの破片をファイルコインネットワークから集め、ユーザーに提供することでFILを得られるマイニングです。
帯域幅と取引の入札/初期応答時間(待ち時間とクライアントへの近接性)によってリトリーブマイナーの能力が変わるため、リトリーブマイニングをする場合にも、環境の良い場所にデータセンターがあるかも、より多くの報酬FILを獲得するための条件となってきます。
ファイルコイン(Filecoin/FIL)マイニング業者を選ぶ際の注意点
以上のことから、多くのマイニング業者が存在しています。
既に1FILの市場価格が150ドルを超えており、各社「現在の価格よりも大幅に安くでFILが入手できる計算」との訴求をし、ユーザーを募集しています。
ファイルコインのネットワーク統計情報を参照できるFILFOXによると、2021年4月12日現在1884のマイナーにより、合計4.152 EiB(エクスビバイト/2の60乗バイト)のストレージが提供されていることがわかります。
マイニング業者によっては、自社が保有するマイニングIDを複数に分け、合算したストレージ容量・マイニング効率を提示しているところもあるため、マイナーの規模やデータセンターの場所などは直接確認が必要です。
ファイルコインのマイナー大手は中国に多い印象がありますが、日本国内に代理店があるかないかによって、
購入時・購入後のサポートが日本語で受けられるなど安心感が全く違うため、日本語対応されているマイナーを選択することが推奨されます。
日本語対応
現在日本語でユーザー募集をしているファイルコインのマイナーは4社見られます。
- FILECOIN MINER(およびFILPOWER)
- RRMINE
- The FIL
- ZIPANG FIL
想定採掘枚数
将来性を考え、現在価格が安いと判断されるか、高いと判断されるかになります。
各社で1枚辺り日本円換算いくらでマイニングできるかの想定がされていますが、単純に提示されている採掘枚数で投資回収率を考えるのではなく、枚数保証があるのかどうか、3年後もその会社が存在しそうかどうか、ウォレットからの引き出しはどのようにできるのかを確認した上で、投資するようにしましょう。
実体が確認できるかどうか
仮想通貨の案件には、アフィリエイト報酬目的の個人代理店が多く存在します。その個人代理店は自身では投資しておらず、紹介報酬のみもらうことを目的とする人もいます。紹介報酬制度があるマイニングの場合、紹介者が実際に投資しているのかどうかも確認しましょう。
また、その個人代理店のアフィリエイト報酬がどのくらいの割合を占めるのかも精査する材料となります。
ファイルコインの現物は海外仮想通貨取引所バイナンスで購入できます。