カルダノ(Cardano)の概要
ADAの概要 | ||
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基本情報 | 仮想通貨名 | カルダノ(Cardano)、エイダコイン |
ティッカーシンボル | ADA | |
発行開始年月 | 2016年10月 | |
主な利用用途 | 送金、決済、スマートコントラクトプラットフォームの構築 | |
発行状況 | 発行主体 | なし。プログラムによる自動発行 |
発行方法 | ブロックチェーンの追記作業(マイニング)に対する報酬として新規発行される | |
上限発行量 | 45,000,000,000ADA | |
発行可能数の変更 | 不可 | |
発行予定・発行条件 | ブロックを生成するごとにステーキング報酬として新規発行される | |
価格移転記録 | コンセンサスアルゴリズム | PoS(Proof of Stake) |
カルダノ(Cardano)の発行主体(財団など)について解説
カルダノの発行はプログラムによって管理されており、発行主体は存在しません。
またカルダノの運営には3つの組織が関わっています。コミュニティの支援や法規制への対応はCardano Foundation(カルダノ財団)が、カルダノの開発はIOHKが、カルダノの普及活動や助成活動はEmurgo(エマーゴ)がそれぞれ行っています。
カルダノ(Cardano)のCEOについて
カルダノの開発を進めるIOHKのCEOは、チャールズ・ホスキンソン氏が務めています。チャールズ氏はコロラド大学ボルダー校とデンバー大都市圏大学で解析的整数論を研究した数学者です。テクノロジー起業家、仮想通貨のエヴァンジェリストとしても知られています。
2013年にイーサリアムの開発チームに加わり、ヴィタリック・ブテリン氏やギャビン・ウッド氏と共にイーサリアムの共同創設者となりました。しかし方針の違いから2014年にはチームを離れました。
その後同じイーサリアムの開発チームであったジェレミー・ウッド氏と共にカルダノを開発し、カルダノの開発を行うIOHKを創設しています。
カルダノ(Cardano)のCTOについて
IOHKのCTOは2021年6月現在、ロメイン・パレリン氏が務めています。パレリン氏はフランスのエンジニア養成機関のひとつであるテレコム・シュドパリ(Télécom SudParis)とフランス国立工芸院で分散コンピューティングを研究したエンジニアです。
2020年2月にIOHKのCTOに就任しています。
IOHKのCTOになる以前は3つのテクノロジー企業のCEOやCTOを歴任し、ブロックチェーン技術を活用したシステム開発も手がけています。
カルダノ(Cardano)のその他主要人物について
エマーゴはカルダノの普及活動など商業活動を担っており、アメリカをはじめインドネシアやシンガポール、インド、インドネシア、更に日本にオフィスを構えています。そしてエマーゴのCEOは、日本人である児玉健氏が務めています。
児玉氏は元々金融業界に身を置いていましたが、2014年ごろからブロックチェーンに関する発信を行うようになりました。
2017年にはチャールズ・ホスキンソン氏らと共にカルダノプロジェクトを発足。エマーゴを創設しました。
オフィスの所在地から見ても、エマーゴがアジア圏に力を入れていることは明らかです。特に児玉氏はエマーゴおよびエマーゴ・ジャパン(Emurgo Japan)のCEOを務めています。
カルダノ(Cardano)の発行方法、発行条件
カルダノはブロックを生成するごとに新たに通貨を発行し、ステーキング報酬として渡します。Binance(バイナンス)などの仮想通貨取引所をはじめ、Daedalus Wallet(ダイダロスウォレット)やYoroi Wallet(ヨロイウォレット)といった専用のウォレットなどでステーキングが可能です。
カルダノは発行上限が450億ADAに設定されており、そのうち約140億ADAがステーキング報酬として発行される予定です。
カルダノ(Cardano)のコンセンサスアルゴリズム
カルダノのコンセンサスアルゴリズムはPoS(Proof of Stake)です。カルダノを一定数量保有するノードの中からトランザクションの承認権限を与えるものを選出する仕組みです。よりステークする金額と保有期間が大きいノードほど選ばれる確率が高くなります。
カルダノのPoSはOuroboros(ウロボロス)と言うプロトコルに基づいています。ウロボロスは数あるPoSプロトコルの中で国際暗号協会による査読を受けており、安全性が科学的に証明されています。
メリット
PoSのメリットはまず高い計算能力とセキュリティを維持しつつ、消費電力を抑えることができる点にあります。
PoSでは数あるノードの中から限られたものが計算処理を行うため、過度な競争は発生しません。その結果処理も早く、消費電力も少なくて済みます。また不正を行うためには総発行量の51%を保有しなくてはならないため、ハッキングのリスクが高いです。
また個人ではステーキングに参加できなくても、ステークプールにカルダノを委任することで間接的に参加し、報酬を得ることができます。よりトランザクション処理を分散化することができるのです。
デメリット
PoSのデメリットとしては大口の保有者が結託し、計算処理を独占的に行うリスクがある点とステーキングする分だけ通貨の流動性が低下する点が挙げられます。
しかしカルダノの採用するウロボロスはこれらのデメリットに対して解決策を講じています。まずカルダノではノードの選出のランダム性が増しており、独占的に処理をすることができません。どのノードでも5日に1度ほどのペースで報酬を得ることができます。
またステーキングしたカルダノは自由に動かすことができます。そのためステーキング量がいくら増えても流動性が低下することはありません。カルダノは流通量のうち約70%以上がステーキングされていると言われていますが、問題が起きたことはありません。
カルダノ(Cardano)のプロジェクトポリシー(発足の目的・背景など)
カルダノはビットコイン、イーサリアムに次ぐ第三世代の汎用ブロックチェーンとして、汎用性の高いプラットフォームを提供するプロジェクトです。
公開当初は分散型オンラインカジノプラットフォームでしたが、2017年にリブランディングを実施し、現在のカルダノとなっています。
カルダノの特徴としては高い技術力を有し、学術的に認められた技術を活用して開発されている点にあります。
ウロボロスプロトコルに加え、Plutus(プル―タス)という独自のスマートコントラクトも導入しています。プルータスは契約内容に加えて個人情報を記録することができます。
またGlow(グロウ)やMarlowe(マーロウ)、仮想マシンであるKEVMにより、多くの言語で開発を行える環境が整備されています。更にプラットフォームがCardano Computation Layerと言われる層(レイヤー)で構成されており、開発によってプラットフォーム全体が変更されないような仕組みです。
加えてビットコインの残高管理方式UTXOを改良したEUTXO(Extend UTXO)という残高管理方式を採用することで、UTXO方式の高いセキュリティとスマートコントラクトを両立させました。
カルダノは新世代の汎用ブロックチェーンプラットフォームであると同時に、旧来のビットコインとイーサリアムの長所を併せ持ったプロジェクトでもあるのです。
カルダノ(Cardano)のアライアンス、過去のビッグニュース
最後にカルダノに関連する過去の大きなニュースを紹介します。
2021年3月2日 IOHKがMary(メアリー)メインネットの実装完了を発表
この日IOHKはカルダノのアップデートが完了し、Mary(メアリー)メインネットを実装したことをTwitterで発表しました。
MISSION ACCOMPLISHED!: We can confirm that the #Cardano ‘Mary’ protocol update was successfully applied to the #Cardano mainnet tonight at 21:44:51 UTC via a managed hard fork combinator event.
— Input Output (@InputOutputHK) March 1, 2021
Welcome to the beginning of an exciting new multi-asset era on #Cardano $ADA 1/4 pic.twitter.com/vk3qDrIIds
カルダノの開発はByron(バイロン)、Shelly(シェリー)、Goguen(ゴーギャン)、Basho(バショー)、Voltaire(ヴォルテール)という5つの段階に分かれています。メアリーはこのうち、ゴーギャンの2段階目にあたります。
このアップデートによってカルダノはネイティブのマルチアセットに対応しました。カルダノのブロックチェーン上に直接トークンを発行できるようになります。
スマートコントラクトを介さないことでより軽量、かつカルダノの高いセキュリティでサポートされるトークンを簡単に発行できるため、NFTの分野などでの応用が期待できます。
2021年4月27日 IOHKとエチオピア政府がパートナーシップ協定を締結
この日IOHKはエチオピア政府との独自のパートナーシップ協定を締結したことを発表しました。エチオピア政府はIOHKのAtalaPRISM IDを用いて教育実績をデータ化し、教育が浸透していない地域を明らかにします。
また首都のアジスアベバ近郊の教育機関を対象に、カルダノを用いて成績や生徒の行動履歴、出欠席、学歴などを追跡できるサービスを開発することも検討されています。