オーサムオシレーターはFXの分析手法の中でも、海外の投資家の間で人気のものです。FXの中級者以上の方がよく使っており、FXに少し慣れてきた方や他の分析方法を試したい方にオススメの分析方法です。
分析ツールを使うときは、ツールの基本原則を知っていると実践的な使い方ができます。オーサムオシレーターがご自分のトレードに合っているのかをまずは確認しましょう。合わせて、オーサムオシレーターと組み合わせて使うことでより分析の精度が高まる方法もご紹介いたします。
オーサムオシレーターでは何がわかる?見方や計算方法とは
オーサムオシレーターという方法はアメリカのビル・ウィリアムズによって考案されました。この手段を使う基本法則や特徴・計算方法について知っておきましょう。
オーサムオシレーターの基本法則
オーサムオシレーターの基本的な解釈の仕方について解説します。
この図は、ユーロドルの1時間足のチャートにオーサムオシレーターを表示させたものです。このインジケーターをしっかりとした理解をする為には以下の3点を覚えてください。
①ゼロライン
…グラフ右端の0.00という数字が書かれている点から水平線に引いた線
②バーグラフの色
…青が上昇トレンド、赤が下降トレンド意味する
③バーの長さ
…トレンドの強さを表す
バーグラフの解釈のポイントは次のようになります。
バーの位置 | 相場の見方 |
ゼロラインより上 | 上昇トレンド |
ゼロラインより下 | 下降トレンド |
ゼロライン上 | 相場の転換 |
次にバーの色ですが、上図の例では青が上昇トレンド、赤が下降トレンド意味します。使用するチャートにより、色は違いますが二色で示されます。
さらに、バーの高さは長ければ長いほど、トレンドが強いという事になります。
オーサムオシレーターでは何がわかるのか
オーサムオシレーターの特徴としては以下のものが挙げられます。
①ゼロラインとバーの位置関係でトレンドがわかりやすい
②大きなトレンドの中の小さな反発を把握することができる
③トレンドの強弱が一目で理解できる
④ダイバージェンスを見つけやすい
オシレーター系の分析手法でありながら、トレンド系の要素も持ち合わせています。
オーサムオシレーターの計算方法
オーサムオシレーターでは「中央値」と「オシレーターの数値」の2種類を求めます。
中央値 | 直近の高値と安値を2で割ったもの。 中央値=(高値+安値)÷2 |
オシレーター数値 | 5期間移動平均と34期間移動平均線の二本の移動平均線から計算。 (移動平均線の種類は単純移動平均線(SMA)の中央値を使用) オシレーター数値=5SMA - 34SMA |
実際、チャート上に同じ期間のSMAを2本表示するとゴールデンクロス・デッドクロスになった時とヒストグラムの転換が一致していることが分かります。 つまり、2本のSMAで形成されるのサインが、オーサムオシレーターの中に分かりやすく表示されているということになります。
【戦略の参考例あり】オーサムオシレーターは実践的にはどう使う?
オーサムオシレーターを使って売買のサインを見つけたり、トレードの戦略を立てることができます。具体的な方法をみていきましょう。
売買のサインと基本戦略
オーサムオシレーターはゼロラインとバーの色で以下のような基本戦略があります。
ゼロライン | トレンド | バーの色 | トレンド強弱 | エントリー方向 | 決済ポイント |
上 | 上昇トレンド | 青 | 強い | ロング | 赤に転換 |
赤 | 弱い | しない | |||
下 | 下降トレンド | 青 | 強い | しない | |
赤 | 弱い | ショート | 青に転換 |
上昇トレンドではロング方向にエントリーし、上昇トレンドの中の小さな下降トレンドが発生した際に決済をします。下降トレンドでは上昇トレンドと逆になります。
オーサムオシレーターで判断できる売買サインは3つあります。
オーサムオシレーター上でみられること | どんなサインなのか |
バーがゼロラインに集約される | 反転のサイン |
最低3本のバーがすべてゼロラインより上(下)でバーの色が下(上)向きから反転している | 小反発か反転 |
対象となる全てのバーがゼロラインより下にあり、1つ目の山の頂点より、次の山の頂点が高いとき | 買いシグナル |
オーサムオシレーターを使ってトレード戦略を立案する
オーサムオシレーターの基本原則や売買サインはトレード戦略にそのまま落とし込む事ができます。ここでは3つの参考例をあげたいと思います。
①相場の転換を捉えた順張り
これは、売買シグナルを素直に使うもので、バーの値が0.00になったタイミングで逆方向に順張りする戦略です。
本質的にはゴールデンクロス・デッドクロスを利用した順張りとなります。
ただし、オーサムオシレーターの中でダイバージェンスが発生していることと、ボリンジャーバンドなどの他のオシレーターを使ってダイバージェンスの確認が出来たタイミングのみエントリーするというルールにします。
利確に関しては、こちらも基本原則通り、ポジションを取った方向と逆の色を示すバーが出た時に利確。損切りは、バーの反転が成功せずに、今まで形成されていた側に戻ってきた時とします。
②トレンド発生時の押し目買い・戻り売り
こちらはトレンドに乗り遅れた時に、さらに順張りをする戦略です。
トレンドが出てる方向と反対を示すバーの色からトレンド方向と同じ方向を示すバーの色に転換した時にエントリーします。他のインジケーターとの組み合わせとしては、MACDやストキャスティクスなど組み合わせるのも良いでしょう。
利確に関しては、①と同じようにポジションを取った方向と逆の方向を示すバーの色が出た時に利確。損切りは、バーの色がポジションと反対方向に反転した際とします。
③バーが短くなった際に相場転換と判断し逆張り
これはリスクのある方法となりますが、トレンドを早めに掴もうとする戦略です。
トレンドは必ず弱くなってから反転しますので、そのポイントをオーサムオシレーターで見つけます。オーサムオシレーター上で頂点を作り、そこから逆方向を示す色に反転したバーが2本でたらエントリーします。
この場合は利確も損切りもエントリーした方向と逆を示すバーの色が出た時点にします。
ダイバージェンスを確認する
プライスチャートのトレンドラインとオーサムオシレーターのトレンドラインが反対方向に形成されている時に、相場の転換を示すダイバージェンスが発生したと解釈します。
ダイバージェンスが起こるとトレンドが切り替わる可能性が大きいです。
この事象を正確に掴むことができると、適確な分析ができます。
オーサムオシレーターはどんなツールと組み合わせると良いのか
実際のトレード戦略はオーサムオシレーター以外のインジケーターも併用した方が成功確率が上がります。組み合わせは様々ですが、今回は2つを紹介します。
移動平均線と一緒に使う
3本(短期・中期・長期)の移動平均線を使い、これらのラインが交差する場所をみてエントリーするかどうかを決める方法があります。
オーサムオシレーターで売買のサインが出た際に、移動平均線のクロスはどのようになっているかを確認する方法です。
・ゴールデンクロス:短期が中・長期を上抜けする→買いサイン
・デッドクロス:短期が中・長期を下抜けする→売りサイン
以上のように、移動平均線とオーサムオシレーターを組み合わせて売買サインを読み取ることができます。
ボリンジャーバンドと組み合わせる
オーサムオシレーターとボリンジャーバンドを組み合わせて使うと順張りでのエントリーがやりやすくなります。
オーサムオシレーターのバーがゼロラインの近くにあるときにボリンジャーバンドでスクイーズが起きていたら次にエクスパンションが起こる可能性があります。
エントリーのタイミングは、エクスパンションでローソク足が2σのバンドに触れている、かつオーサムオシレーターでゼロラインより下にバーが伸びている時です。
まとめ
オーサムオシレーターは日本では最近人気となっているFXの分析ツールです。
オシレーター系の分析ツールでありながら、トレンドの把握もできる優れものです。ゼロライン・バーグラフ・バーの長さでトレンドの流れや強さをみることができます。
オーサムオシレーターを利用して売買のポイントやトレードの戦略を立てることができます。他のインジケーターと組み合わせることでさらに詳細な分析や売買のタイミングを見ることが可能です。