DMI(方向性指数)のゴールデンクロスは買いシグナル!?チャートの見方や効果的な使い方を解説

 

 

FXでは売りどきや買いどきを予測してタイミングよくトレードすることがポイントです。そこで、テクニカル指標が有効になりますが、分析に使う指標にはいくつかあります。今回は数あるテクニカル指標の中でもDMIについて解説していきます。

 

価格が上昇に転じる地点をゴールデンクロスといいます。DMIではどのように見極めるとよいのでしょうか。

 

ただし、テクニカル分析はあくまでも予測するツールだということには注意が必要です。予測と違って思ったように価格が上がらず、大きな損失をしてしまったというトレーダーも多いです。「だまし」という現象はなぜ生じてしまうのでしょうか。「だまし」を回避するためにもDMIを利用する注意点を知っておきましょう。また、効果的な使い方もぜひご参考にしてみてください。

 

DMI(方向性指数)とは?3本のラインの意味と見方について

 

価格変動の予測は、トレンド系・オシレーター系・フォーメーション分析・ローソク足分析などさまざまな方法があります。DMIとは、どんな分析方法なのでしょうか。チャートにある3本のラインが特徴的です。指標の見方をおさえておきましょう。

 

DMI(方向性指数)とは?

 

DMIでは、一般的には相場変動の勢いを分析できます。しかし、同時に市場全体の方向性(トレンド)も予測します。これから価格が上がるのか下がるのか、そして変動の幅を読み取ります。

 

DMIは、英語で「Directional Movement Index」といいます。ワイルダー氏によって、後述するRSIのデメリットを補うために考案されました。つまり、価格変動の強弱(大きさ)だけでなく方向性(トレンド)も分かります。

 

DMI(方向性指数)は3本の指標線から分析する

 

DMIのチャートには、つぎの図のような3本の指標線があります。それぞれが表しているものは何なのでしょうか。

 

①+DI:上昇の大きさを表す。

②-DI:下降の大きさを表す

③ADX:+DIと-DIの変動値から強弱を表す。

 

たとえば、下図では+DIとADXが上向きになっており、上昇の傾向が強いことが分かります。また、-DIは下向きになので下落も弱く、全体の相場が今後も上昇していくことが予測されます。

 

上昇の傾向が強いDMIの図

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【DMI(方向性指数)】買いシグナル・売りシグナルどうやって分析?

 

DMIの指標で売買をするタイミングはどうやって掴めばよいのでしょうか。上記3つの指標線の動きから、トレードに適したシグナルを逃さないようにしましょう。

 

ここでは、チャンスとなるゴールデンクロスと、損失を抑えるためのデッドクロスの見方を解説します。また、トレンドが転換する兆候であるダイバージェンスについても知っておきましょう。

 

買いシグナルのゴールデンクロス

 

ゴールデンクロスとは、+DIが-DIを下からに突き上げる現象です。つまり、価格が上昇していくと予測されるため、買いのタイミングだと分かります。

 

DMIでは、ほかにも次のような現象があるときに買いシグナルと判断します。

 

・ADXが上昇し、かつ+DIとADXともに-DIの上にある

・ADXが+DIと-DIの下から大きく突き上げたとき

 

ゴールデンクロスを表した図

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売りシグナルのデッドクロス

 

反対に、デッドクロスとは、-DIが+DIを下から大きく突き上げる現象をいいます。価格は下落すると予測されます。売りどきのサインです。

 

DMIでは、次のようにADXの動きもあわせて分析すると売りシグナルのタイミングがよりはっきりします。

 

・ADXが上昇し、かつ-DIとADXがともの+DIの上にある

・ADXが+DIと-DIの下から大きく突き上げたとき

 

デッドクロスを表した図

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ADXで予測!トレンドのターニングポイント

 

ADXとは、トレンドの勢いを表す指標です。価格の上昇傾向が強いときや、反対に下落傾向が強いときに大きく変動します。

 

下図は分かりやすく、USD/JPYとADXのみを表したものです。ラインが接近したあとに逆行する現象がみられますが、これをダイバージェンスといいます。この現象を堺に、価格が上昇に転じています。ADXの変動から、トレンドのターニング地点を予測します。

 

ダイバージェンスが発生した後の様子

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「だまし」を回避!DMI(方向性指数)と組み合わせたいテクニカル指標

 

FXをしている人は誰しも「だまし」という現象によって損失してしまった経験があると思います。

 

ここでは、「だまし」の事例と回避する方法、そしてDMIと組み合わせにおすすめ指標をご紹介します。FXでは損失がつきものですが、リスクの可能性やパターンをしっかり見極めることが大切です。

 

「だまし」とは?よくある事例や起こってしまう原因

 

買いシグナルにもかかわらず、トレードをしようとした瞬間に逆の動きをしてしまうことが少なくありません。

 

相場のセオリーを理解していても、なかなかその通りにいかないのが現実です。これを「だまし」といいますが、おもな事例をみていきましょう。

 

・ゴールデンクロスが思ったより伸びない:

 

先ほどDMIの買いどきのサイン、ゴールデンクロス現象を述べました。価格が上昇していくと予測されるサインですが、上昇が続かず再び下降してしまうこともあります。

 

その原因はいくつかあります。まず、ゴールデンクロスの発生が、トレンド発生のタイミングより少し遅いからです。それから、ゴールデンクロスは値動きの幅が一定のレンジ相場には機能しないことも原因のひとつです。

 

・ブレイクアウトからの下落:

 

価格が上昇しているときいったんレジスタンスラインで上値にブレーキがかかるのが一般的です。レジスタンスラインは上値抵抗線ともいわれ、価格の上昇を抑えているように見えるラインです。このレジスタンスラインを突き抜けることをブレイクアウトといい、トレードに適しています。

 

ここからもう一段階上昇する可能性もあります。しかし、ブレイクアウトが続かず下落に転じてしまうことも少なくありません。当然、為替相場は売られる量が多ければ下降していきます。ブレイクアウトをどう捉えるか、まさにトレーダー同士の攻防といえます。

 

テクニカル指標で「だまし」を回避できる?

 

分析で気をつけておくべきことは、どんな指標を利用するにしても、あくまで価格変動の予測しかできないことです。ですから、1つの指標だけを使うのは避けましょう。

 

テクニカル指標を用いた分析は次のように大きく2通りあります。どちらの要素も分析できる指標を組わせて使うと効果的です。

 

・トレンド系:

移動平均線(MA)、MACD、ボリンジャーバンド、一目均衡表、DMIなど

 

・オシレーター系:

RSI、ストキャスティクス、移動平均線乖離率、RCIなど

 

DMI(方向性指標)と組み合わせて使いたいRSIとは?

 

DMIと組み合わせて使いたいのがRSIです。RSIとは、英語で「The Relative Strength Index」で、「相対力指数」といい、市場での買われ過ぎ・売られ過ぎが判断できます。一般的にレンジ相場に有効なので、レンジ相場に弱いDMI(方向性指数)と一緒に使いたい指標です。

 

RSIは0%~100%の間で変動し、数値が大きいほど相場は強く、小さいほど弱いと判断します。20%以下だと売られ過ぎで買いに転じ、反対に80%以上だと買われ過ぎで売りに転じると予測できます。

 

たとえば、DMIで買いサインが出だとき、RSIで売られ過ぎ(20%以下)なら信頼できるサインといえます。

 

まとめ

 

FXでは売りどきと買いどきの見極めが大切です。正しく分析をすれば、トレードのタイミングを的確に掴めます。分析には、値動きが上昇していくのか下降していくのかをみるトレンド系指標と、トレンドの強弱・勢いを表すオシレター系指標などさまざまです。

 

オシレーター系に分類されることもあるDMI(方向性指標)は、トレンドの有無や強弱を十分に判断できるものです。+DIと-DI、ADXの3つの指標線から、ゴールデンクロス、デッドクロス、そして相場のダイバージェンスが分かります。また、「だまし」を回避するためには、いくつかの指標を使いましょう。DMIとRSIを使うことによって、さらに正確な買いシグナルを掴むことができます。

記事の監修者

中島翔

中島 翔

学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。その後国内大手仮想通貨取引所Coincheckでトレーディング業務、新規事業開発に携わり、NYのブロックチェーン関連のVCを経てCWC株式会社を設立。証券アナリスト資格保有 。

Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12



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