テクニカルトレーダー必見!チャートの騙しを見抜くには

FX取引を行っている中で、「エントリーした後に、想定していた方向とは逆の方向に相場が動いてしまった」という事態は、誰しも経験したことがあるのではないでしょうか。

 

しっかりとテクニカル分析を行っていても、このような「だまし」に遭ってしまうことも珍しくありません。

 

この記事ではFX取引における「だまし」が発生する原因とその対策について解説していきます。

 

だましとは

 

FX取引における「だまし」とは、価格がテクニカルシグナルのトレンドに背いた動きをすることを指します。

 

テクニカル分析を行う中で、一方向へブレイクアウトすると踏んでエントリーしたにもかかわらず、逆方向へ価格が動いてしまう相場のことを「だましにあった」というように表現します。

 

だましはFX取引の初心者よりも、テクニカル分析を行っている中・上級者の方が経験しやすいといわれています。

 

その理由について、次の項目で解説していきます。

 

だましが発生する原因

 

だましが発生する原因として、機関投資家などの大口トレーダーによる仕掛けが挙げられます。

 

相場は投入される資金量で価格が上下するため、大口トレーダーの動きによって価格が大きく左右されます。

 

一般の投資家がだましに陥るのは、この大口トレーダーが大量に資金投入するタイミングを掴めていないからといえるでしょう。

 

たとえばエントリーサインが出たことから、一方向にブレイクアウトすると読んで買いのポジションをたてたとします。

 

それがテクニカル分析に基づくタイミングであれば、当然同じタイミングで大口トレーダーたちもエントリーすることが予想されます。

 

その後ブレイクアウトした際に大口トレーダーは一気に資金を引き上げるため、一般投資家にとっては「大きく動くと思っていたのに、想定よりも一方向に抜けなかった」ということになります。

 

つまり、大口トレーダーたちが意図的に早く資金を引き上げたことで、相場が上昇しきれないといっただましが発生するのです。

 

また、エントリーのタイミングから大口トレーダーが逆の仕掛けをしてくることもあります。

 

チャートのサインを見てエントリーしてくる一般投資家と、あえて逆のエントリーをすることで利益を狙うという手法です。

 

逆方向へ推移した相場によって、当然一般投資家は含み損を多く抱えることとなるため、ほとんどのトレーダーは損を抱えきれずに損切りを行います。

 

そうすることでますます相場は一方向への動きが強まり、大口トレーダーの利幅が大きくなることとなります。

 

だましの事例

 

だましが発生するタイミングにはいくつかの種類があります。ここからはだましの事例について紹介していきます。

 

レンジブレイク

 

一定の幅の中で価格が上がったり下がったりすることをレンジ相場といいます。

 

レンジ相場では相場の行方が読みにくいため、トレーダーはエントリーのタイミングを見送ることが多くなります。

 

そこから上下どちらかの方向へトレンドが抜けることをレンジブレイクといいます。

 

これまでエントリーのタイミングを探っていたトレーダー達は、ここで一気にエントリーを仕掛けますが、このレンジブレイクは大口トレーダーによって仕掛けられたものであることがあるのです。

 

大口トレーダーは市場へ大量に資金を投入することで、相場がレンジブレイクしたように見せかけます。

 

それをレンジブレイクだと思った一般投資家たちが入ってきたタイミングで、大口トレーダーは逆の注文を入れるため、結局は元のレンジ相場に戻ることになります。

 

サポートライン

 

サポートラインとは「下値支持線」とも呼ばれ、「これ以上は下落しないだろう」と推測されるラインのことを指します。

 

サポートラインは過去の下値と直近の下値を引いたラインで示され、サポートライン付近まで価格が下落した際にはその後の反発が予想されるため、買い注文が入るタイミングでもあります。

 

大口トレーダーはこのサポートラインに近づいたところで、売りの注文を仕掛けることがあります。

 

これにより一気に価格が下値へ抜けるため、相場が下降トレンドに入ったと感じたトレーダーによる売り注文と損切りが重なり、相場が大きく下がることとなります。

 

大口トレーダーは今度はここで買いの注文を入れることで、一気に利益を得ることができます。

 

大量の買い注文が入ったことで、相場は再度サポートラインに収斂していく形になります。

 

ゴールデンクロス

 

ゴールデンクロスとは、短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に突き抜けることを指し、相場が上昇トレンドに入るサインとされています。

 

FX取引において、ゴールデンクロスをテクニカル分析に活用しているトレーダーは多いでしょう。

 

ただし活用しているトレーダーが多いほど、大口トレーダーにとっては仕掛けやすいタイミングとなります。

 

ゴールデンクロスに近づいたとき、急速に短期移動平均線が上昇するのを見ると「ゴールデンクロスの発生だ」と多くのトレーダーが相場に飛び乗ります。

 

ここでも、大口トレーダーの仕掛けによってゴールデンクロスと見せかけている場合があります。

 

一般投資家たちが飛び乗ってきたタイミングで、大口トレーダーは売り注文を仕掛けるため、実際はゴールデンクロスの発生まで届かず下落してしまうこととなります。

 

またゴールデンクロスと逆のデッドクロスでも同様の仕掛けを行うことがあります。

 

利用するトレーダーが多い手法ほど、一般投資家のエントリーするタイミングが読みやすいため、大口トレーダーにとっては絶好のだましのタイミングとなるのです。

 

だましを回避する方法とは

 

「相場は生き物」と言われるように、先を読むことは誰にとっても難しいものです。しかし、なるべく損失を抱えることは避けたいですよね。ここからは、だましを事前に回避する方法について紹介していきます。

 

感情で相場を見ない

 

「頭と尻尾はくれてやれ」というように、取引を行う上で最適のタイミングを狙う必要はありません。

 

トレンドの方向性が出てから、ゆっくり乗っても十分間に合うということを忘れないようにしましょう。

 

相場の流れを掴んでいないまま慌ててエントリーすると、多くの場合で「思っていた方向と反対に動いてしまった」ということになります。

 

突然相場が大きく動くと冷静な気持ちを保つことは難しいですが、「感情で取引を行わない」ということは常に念頭に置いておく必要があります。

 

長期保有を前提にエントリーする

 

FX取引に限らず、投資の基本は長期保有です。

 

短期で利益を得ようとすると、だましが発生した時に慌てることになります。

 

短期目線での相場の動きに一喜一憂するのではなく、長期目線で相場を見ていれば多少想定と異なる動きをしたときも俯瞰して捉えられるでしょう。

 

とはいえFX取引の場合は大きな損失を抱えることもあるため、長期で投資をするには極端に大きなレバレッジをかけないことも大切です。

 

レバレッジをかけること自体が悪いことではありませんが、自身のリスク許容度と見合った取引を心がけるべきといえるでしょう。

 

テクニカル分析の手法を多く持つ

 

事前にだましの発生に気付くことは、FX上級者であっても難しいといえます。

 

しかし複数のテクニカル分析を使用することで、だましに事前に気付く可能性があります。

 

いつも同じテクニカル分析を用いるのではなく、複数の手法を用いることで自身の運用手腕の向上にもつながるでしょう。

 

まとめ

 

テクニカル分析を行う中で、エントリーサインが出てエントリーしたにも関わらず、想定と逆方向へ相場が動くことを「だまし」といいます。

 

これは大口トレーダーによって意図的に仕掛けられた結果であることがほとんどです。

 

特にゴールデンクロスのような多くのトレーダーが用いる指標が示すタイミング付近では、だましが発生しやすいといえます。

 

一般の投資家では当然大口トレーダーに資金負けしてしまうため、なるべく事前にだましを回避することが大切といえるでしょう。

 

だましを見抜くことは簡単ではありませんが、「相場を感情で見ないこと」や「長期保有を前提とする」ということを心がけることで、だましを回避できるかもしれません。

 

記事の監修者

中島翔

中島 翔

学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。その後国内大手仮想通貨取引所Coincheckでトレーディング業務、新規事業開発に携わり、NYのブロックチェーン関連のVCを経てCWC株式会社を設立。証券アナリスト資格保有 。

Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12



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