今後資産運用としてFXを利用して行いたいと思っている方も増えてきている環境下、一体どうやって取引していくべきなのかと悩まれる方も多いでしょう。高金利通貨で有名なのは新興国通貨のトルコリラや南アフリカランド、メキシコペソです。
「高金利」と聞くと真っ先に浮かぶのはメリットですが、実はリスクもあります。
投資したい通貨の現在の状況や将来の予測を知っておくことで、今後どのように資産を運用していくかを決めることができます。通貨別にそれぞれ特徴がありますが、ここではメキシコペソに焦点を当てて解説したいと思います。
メキシコの情勢からみるメキシコペソの通貨特徴とは
通貨の特徴はその国の情勢で決まってきます。メキシコの経済状況や影響を受けやすい国を知っておくと、メキシコペソへの理解が深まりやすいです。
メキシコは中南米で規模の大きい国
メキシコの経済規模は中南米ではブラジルに次ぐ規模で、アメリカとの貿易が盛んな国です。
メキシコ湾では石油や天然ガスが産出されるので、原油価格に大きな影響を及ぼす国でもあります。
メキシコは米国と隣接しているため、貿易の中心がアメリカで依存度も大きいです。
アメリカの大統領がトランプ氏だった頃は、メキシコとの摩擦が高まったためメキシコ経済に不安が高まった過去があります。2018年にNAFTAをUSMCAに置き換えることに合意し、トランプ前大統領がこの法案に署名したことから、安心感が広がりました。
メキシコペソは新興国通貨
メキシコはエネルギー産出があるため、メキシコペソは新興国通貨としてカテゴライズされています。メキシコペソの魅力は、「政策金利が高水準なところ」「少額から始められること」です。
政策金利は次のような推移をしています。
政策金利は2018年あたりで8%超でしたが、2020年からコロナショックがあり金利が下がり、2021年2月には4.0%となりました。現在は徐々にまた金利が上がりつつあり、2021年10月は4.75%まで回復しています。
一時期に比べると政策金利は低くなったとみられがちですが、米国は0.00〜0.25%、英国が0.10%なので諸外国と比較すると高いと言えます。
また、投資家に選ばれるポイントとしては少額での投資が可能なところが挙げられます。1メキシコペソは5円台(2021.11.13現在)で推移しています。それに対し、同時期の米ドルは100円を超えています。
FX取引を始める際に1,000通貨が必要だとしましょう。そのとき、メキシコペソは300円、米ドルでは4,600円程度が必要となりますので、前者の方がトレードを行うときに必要な費用は安く済みます。
次はデメリットをみていきましょう。
メキシコはアメリカとの結びつきが強いため、アメリカの政治や経済の動きに左右されやすいです。
また、新興国通貨ですので急な下落などが起きやすいというリスクも持っています。
過去には、1993年のデノミネーション・1994年のメキシコ通貨危機でメキシコペソが暴落したこともあります。
メキシコペソはスワップ投資にオススメ
メキシコペソは金利差で利益が出るので、「スワップ投資をして長期で利益につなげたい方」に向いています。
通貨の大きな値崩れがなければ毎日安定して利益につなげることができます。
しかし、スプレッドがある程度広い場合が多いので、短期トレードには向いていません。スキャルピングのような超短期取引でこの通貨を利用することは控えた方がいいでしょう。
メキシコペソを取引するときに注意するべきこと3つ
メキシコペソの取引で注意するべきところは「資金管理の徹底」「資源国通貨であることを忘れない」「アメリカの動きに注目する」の3つです。具体的にみていきましょう。
①資金管理の徹底
これはメキシコペソに限らずFXでは必ず必要なことであり、これができない投資家はいずれ淘汰される運命になると思ってください。
特に新興国通貨の場合は先進国通貨よりも値動きが大きくなりやすいという特徴があります。そのため一時的に急に動いた場面でロスカットに遭う投資家も多く、これはレバレッジのかけすぎが原因となります。
必ずどのくらいの値動きをするとどこでロスカットになるのか、また損失はどの程度出てしまうのかというポジションからのリスク管理がとても重要です。
②資源国通貨であることを忘れない
原油価格が急落すると資源国通貨が売られ、メキシコペソもその対象となります。
そのため、コロナショックの時のように原油価格が下がるとメキシコペソも下落することにつながります。
また資源国通貨バスケット取引というものがあり、これにのみ投資するファンドがあります。
原油価格が下落してメキシコペソに影響がないような状況でも一緒に下落するという特性がありますので注意しましょう。
③「アメリカの動きに注目する」
以前トランプ大統領が大統領に就任した際メキシコとの国境に壁を作るという話がありメキシコペソが急落したことがありました。
これはメキシコは米国との貿易量が全体の大半を占めており、米国との貿易ができなくなったり急減したりすることで国の経済にダイレクトに影響を与えるためです。
また、メキシコと米国の貿易が減少するようなニュースには敏感に反応するため、外交関係のニュースはチェックしておく必要があります。アメリカ株の動きに逆らうような取引は避けるのがベターです。
メキシコペソは今後どうなっていく?FX会社の選び方も
メキシコペソの安値は徐々に回復傾向にあります。FX会社を選ぶ時はスワップとスプレッドに注目して選ぶと利益に繋がれやすいトレードができます。
安値から脱却しつつある
2020年3月にコロナの影響でメキシコペソ/円は安値になっていましたが、徐々に回復傾向にあります。
アメリカの10月の雇用計画が良く株価が上昇したことや、メキシコの消費者物価指数が前年に比べて加速したことが安値に歯止めをかけた要因です。また、最近の原油価格の高値もメキシコペソを下支えしました。
しかし、国営石油会社が経営難であり、その救済による財政の悪化・国債の格下げへの懸念があります。今後も
・アメリカとの関係性
・エネルギー需要
・メキシコ国内の情勢
はしっかりチェックしておく必要があります。
また、メキシコペソは現在ではトルコリラも凌ぐほどの人気が出てきています。メキシコペソでゆっくりと円高が進む過程でポジションを積み上げる投資は初心者でも使いやすいものと言えるでしょう。
FX会社はスワップとスプレッドを確認
メキシコペソは高金利、日本は超低金利なのでこの二通貨間の金利差を利用した取引を行いましょう。FX会社を選ぶ時はスワップポイントが高いかどうか、他のFX会社と比べてどうかをみましょう。
また、手数料となるスプレッドができるだけ狭い方が利益となりやすいです。
まとめ
新興国通貨であるメキシコペソは金利が高く、長期的なトレードをする方に向いています。他の通貨と比べると少額からの投資が可能なところも魅力的です。
しかし、米国との結びつきが強いことや、原油価格によって通貨の値段が左右されやすいので政治・経済のニュースはしっかりとチェックしておきましょう。新興国通貨なので変動幅が大きいことも常に念頭において資金管理を行うことが必要です。
メキシコペソはコロナショックからの安値に歯止めがかかり、回復傾向にあります。FXでトレードを始めるさいは、スワップが高く、かつスプレッドが狭いところを選ぶと利益がでやすいです。
FX取引でのニュースをチェックするおすすめ方法は、以下の記事でご紹介しているためぜひご参考にしてみてください。