ZENの概要
ZENの概要 | ||
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基本情報 | 仮想通貨名 | ZEN(ゼン) |
ティッカーシンボル | JPYZ | |
発行開始年月 | 2017年7月 | |
主な利用用途 | BCCC加盟企業の提供するサービスや製品の購入 | |
発行状況 | 発行主体 | 一般社団法人ブロックチェーン推進協会(Blockchain Collaborative Consortium, BCCC) |
発行方法 | 発行管理用のアカウントにビットコインを送金し、日本円に相当する金額のZENを1ZEN=1円のレートで発行する | |
上限発行量 | なし | |
発行可能数の変更 | 不可 | |
発行予定・発行条件 | アカウントへの入金に応じて随時発行される | |
価格移転記録 | コンセンサスアルゴリズム | PoS(Proof of Stake) |
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ZENの発行主体(財団など)について解説
ZENの発行主体は一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)です。BCCCはブロックチェーン技術の幅広い普及・推進を目指す一般社団法人で、2016年4月に設立されました。複数の企業によって構成される事業者団体で、設立当初は34社でしたが参加企業を増やしており、2019年には270社を突破しました。
CCCBは活動領域を「普及啓発」、「海外連携」、「資金調達支援」、「領域拡大」、「情報共有」の5つに設定しています。ZENの社会実験やブロックチェーンの技術者を増やすための育成プログラムの策定など活動は多岐にわたります。
ZENのCEOについて
BCCCの代表理事はアステリア株式会社の代表取締役である平野洋一郎氏が務めています。アステリア株式会社は1998年に設立された、国内初のXML専業ソフトウェア会社です。XMLは異なる情報システムの間でデータを容易に共有できるマークアップ言語です。
アステリア株式会社はXMLをベースにしたシステム連携を行うソフト「Asteria Warp」などを販売しています。
平野氏は1963年に熊本県に生まれ、熊本大学工学部を中退した後、1987年にロータス株式会社(後にIBMに統合され、2007年に消滅)に入社しました。1998年にはインフォテリア株式会社(現在のアステリア株式会社)を創業させ、現在も代表取締役を務めています。
平野氏は実業家であると共にソフトウェアエンジニアとしても幅広い分野に知識を有しており、青山学院大学大学院の客員教授やMIJSコンソーシアムの理事長なども歴任しています。ブロックチェーン技術やフィンテックにも知見があり、2019年1月にはミロク情報サービスのブロックチェーンアドバイザーに就任しました。
ZENのCTOについて
BCCCの組織はいくつかの部会によって構成されています。現在、ZENのプロジェクトはその中でもステーブルコイン部会の管轄です。ステーブルコイン部会の部会長はカレンシーポート株式会社の代表取締役CEOである杉井靖典氏が務めています。
カレンシーポート株式会社はブロックチェーン技術を活用して電子財布システムや決済システムなどを開発する企業です。
杉井氏は日本のインターネット草創期からWebビジネスに関わってきた実業家です。So-netやUsen、NTT-Xなど複数の企業を渡り歩き、Web媒体やコンテンツ事業の立ち上げに関わってきました。
ブロックチェーン技術にも早くから着目しており、2015年にはカレンシーポート株式会社を設立しました。BCCCでも副代表理事を務めています。また日本ブロックチェーン協会(JBA)の理事にも就任しています。
ZENのその他主要人物について
BCCCの副代表理事はステーブルコイン部会の部会長も務める杉井靖典氏と田中邦裕氏が務めています。田中邦裕氏はさくらインターネット株式会社の代表取締役です。
さくらインターネット株式会社はデータセンター事業、インターネットサービス事業を手がけています。特にレンタルサーバでは日本最大手と言ってもいい企業です。
田中氏は1978年に大阪府に生まれます。1996年、国立舞鶴工業高等専門学校在学中に当時日本では珍しかったホスティングサーバ事業を始め、1999年には現在のさくらインターネット株式会社を設立しました。
田中氏は設立当時18歳という若手起業家のひとりです。さくらインターネット株式会社の代表取締役やBCCCの副代表理事に加え、一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)の常任理事、独立行政法人情報処理推進機構が進める未踏ソフトウェア創造事業のプロジェクトマネージャーを務めています。
またブロックチェーンにも田中氏は関心を抱いており、非中央集権化ができる技術として注目しています。さくらインターネット株式会社はテックビューロやアステリア株式会社と協力してブロックチェーンの開発環境を提供するなど、ブロックチェーン事業にも積極的に関与しています。
ZENの発行方法、発行条件
ZENは日本円と価値が等しくなるように、すなわち1JPYZ=1円となるように価格を連動させたステーブルコインです。
ZENを発行するためには、まず仮想通貨取引所などに設けられたBCCCのウォレットにビットコインを預けます。するとウォレットがビットコインをそのときの日本円に換算し、同じ額のZENを発行して送ってくれるという仕組みです。
このような仕組みを採用しているため、ZENには発行枚数の上限は設定されていません。またZENの発行枚数はBCCCのウォレットに預けられた日本円の総量と同じになります。
ZENのコンセンサスアルゴリズム
ZENはビットコインなどと異なり、独自のブロックチェーンを使って発行されているわけではありません。イーサリアムのブロックチェーンを使って発行される、ERC20トークンです。
BCCCはZENを発行するブロックチェーンを選ぶ際にスマートコントラクトの記述ができる点とパブリックチェーンである点を考慮しました。そのためいくつかの候補の中からイーサリアムを選んでいます。
ZENのコンセンサスアルゴリズムはイーサリアムのブロックチェーンに準拠した、PoS(Proof of Stake)です。
メリット
PoSのメリットは、マイニングの非中央集権性を確保できる点と取引データの承認を高速化できる点にあります。
PoSは仮想通貨の保有枚数や保有期間に応じて取引データを承認する権限を与えるコンセンサスアルゴリズムです。ビットコインなどが採用するPoW(Proof of Work)のように、マイニングに特別なマシンは必要ありません。
そのためより多くの人にマイニングの機会が与えられ、仮想通貨の重んじる非中央集権性を確保することができます。電力消費も抑えられます。
またPoSは取引データの承認に余計なプロセスは挟まないため、処理を高速で行うことができます。イーサリアムの場合、ブロックの生成を15秒に1度行うことが可能です。
デメリット
PoSはPoWの欠点を克服するために考えられたコンセンサスアルゴリズムです。PoWはマイニングコストが大きくなりすぎ、大資本によるマイニングの寡占化が進むことが懸念されていました。
そこでPoSは保有枚数で取引データの承認権限を与える仕組みを採用しました。しかしPoSでも承認権限を与えるために要求する保有枚数が高く設定しているため、マイニングの参加者が限定されるというデメリットがあります。
PoSを採用する仮想通貨はマイニングの参加条件を緩和するために様々な工夫を凝らしています。イーサリアムの場合はステーキングサービスが代表例です。各利用者で持ち寄ってマイニングに参加できるようにしています。
またPoSには仮想通貨の流通量が減ってしまい、流動性が低下してしまうリスクがあります。流動性が低下すると価格の変動が大きくなり、仮想通貨の価値が安定しません。価値が不安定になると、実用化なども遅れてしまいます。
ZENのプロジェクトポリシー(発足の目的・背景など)
ZENは企業や一般社会で広く使うために開発された仮想通貨です。
仮想通貨は従来の金融システムと比べ、送金コストや手数料が安く済む、海外への送金も即座に行える、中央のサーバに依存しないためいつでも決済ができるなどのメリットがあります。
しかし仮想通貨は価格の変動が大きいために、決済手段として普及するには至っていません。例えばある商品を1BTCで発売しようとしても、ある日には1BTC=100万円、その1か月後には1BTC=50万円という具合に価格が変動してしまうと、商売が成り立たなくなるおそれがあります。
そこでBCCCは日本円と価格を連動させたステーブルコインZENを発行しました。ZENは1JPYZ=1円のレートで固定され、価格が変動することはありません。日本円と同じ要領で使うことができ、仮想通貨のメリットのみを享受することが可能です。
また最も代表的なステーブルコインであるTether(テザー)は発行主体であるテザー社が預託されたアメリカドルを使って価値の裏付けを行っています。しかしBCCCは預託された資金に寄らない、独自の仕組みで日本円とZENの価格を連動させました。
ZENはBCCCが専用に用意したウォレットにビットコインを預けることで、ビットコインをその時点の日本円に換算した金額分発行される仕組みを採用しています。つまり流通するZENの金額とBCCCのウォレットにあるビットコインの金額が一致するようになっています。
ですがこの仕組みではZENと日本円を厳密に同価値にすることはできません。そこでBCCCが1JPYZ=1円の買い注文をZENを扱う取引所に注文し続けることで価格の安定を図っています。またBCCCが取得したZENは原則として破棄されることになっています。
ZENは独自の仕組みで、預託金なしで価格を連動させています。この仕組みであれば、理論上は上限なくZENを発行することが可能です。そのためZENはより実用に即しています。
ZENのアライアンス、過去のビッグニュース
最後にZENに関連する過去の大きなニュースを紹介します。
2018年7月6日 BCCCがシンガポールの仮想通貨・ブロックチェーン業界団体ACCESSとパートナー協定を締結
この日、BCCCはシンガポールの仮想通貨・ブロックチェーン業界団体ACCESSとパートナーシップを締結したことを発表しました。
ACCESSはシンガポール国内150社、個人会員260名が加盟する業界団体です。シンガポール国内でブロックチェーン技術の普及・啓発活動やビジネス開発のサポートを行っています。
BCCCとACCESSはワーキンググループの設置を通して相互のノウハウの共有を目指しています。ブロックチェーン技術の実証という部分ではシンガポールのほうが先行しており、BCCCが得られるものは決して小さくありません。
またBCCCとACCESSの両者を合わせると参加企業は400を超えています。機会の創出が期待されるでしょう。ZENも国内外での広がりが期待できます。
2020年1月23日 BCCCがZENの社会実験第2フェーズに向けた活動を開始
この日、BCCCはZENの社会実験の第2フェーズに向けた活動を開始することを発表しました。2月にステーブルコイン部会を発足し、第1フェーズで得た知見を活かし各国の主要通貨を用いたステーブルコインおよびBCCC発行のステーブルコインを用いたバスケット型ステーブルコインZEN NEXTの発行を目指す構想を明らかにしています。
第1フェーズは2017年7月5日から2017年11月30日まで行われました。第1フェーズでは合計で8億5000万円分のZENが発行され、BCCC加盟企業内で製品やサービスの購入に使われました。およそ半年におよぶ実験の結果、ZENは最大でもボラティリティを20%程度に抑え、ほぼ1JPYZ=1円のレートを維持することに成功しています。
第2フェーズはZENをよりグローバルなステーブルコインにするためのステップです。BCCCは各主要通貨のステーブルコインを発行するための仕組みを半年で策定、その後最大30社での企業間決済実験を実施する計画を立てています。
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