仮想通貨FX中級者への道では前回、ファンダメンタルズ分析の基礎を学びましたが、今回は具体的にそれらをどのように捉えるか、そして得た情報を活用し、どのようにテクニカル分析を組み合わせるのかを具体的に解説します。
記事執筆は2020年5月3日時点ですが、ビットコインの半減期を経過した今も変わらず使用できる考え方です。
記事内では中島氏が実際に利用している指標も紹介しています。
初心者はまず短期トレードを避けることを推奨されていますが、日々の情報を追いかけながら、自分ルールに従ってエントリーのタイミングを見極めましょう。
トレード前の心構え〜テクニカル分析の基礎など、前回までのアーカイブはこちら
- 第一話「トレードで大事な、知識よりも大切なこと」
- 第二話「ローソク足の重要性」
- 第三話「ローソク足の組み合わせ」
- 第四話「典型的なチャートパターン」
- 第五話「テクニカル分析の基本(ボリンジャーバンド)」
- 第六話「テクニカル分析の基本(MACD)」
- 第七話「ファンダメンタルズ分析の基礎」
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学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。
その後、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。
さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。
その後仮想通貨取引所コインチェックにてトレーディング業務を経験し、現在はNYブロックチェーン関連のVCに勤務。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。
【保有資格】証券アナリスト
はじめに
仮想通貨トレードの初心者向け連載記事を寄稿させて頂いておりますが、まだまだ覚えるべきことがありますので是非とも読み飛ばした方がいましたら、振り返りも含めて読んで頂けたら幸いです。
前回はファンダメンタルズの基礎の内容を記載しましたので、ここではファンダメンタルズ分析とテクニカル分析を併用する手法を作るための考え方について解説したいと思います。
ファンダメンタルズとテクニカル分析の併用の仕方
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の役割
最初にファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の役割について理解しましょう。
筆者の考え方は、ファンダメンタルズ分析は「方向性を予想するもの」、テクニカル分析は「エントリーやイグジットのタイミングを精緻に計るためのツール」という役割で分析を行っています。
ファンダメンタルズ分析はニュースや経済指標、要人発言等様々なイベントから投資対象の価格の推移を予想するものであるため、しっかりとしたタイミングでエントリーするということを判断するのは不可能です。
たまに「ファンダメンタルズ分析で長期投資であればエントリーの価格は気にする必要はない」という投資家もいますが、私はコストを考えない投資家やトレーダーは絶対ナンセンスであるという考えを持っています。
長期投資でもある程度コストがいいところでエントリーすることはとても大切なことです。どんな簡単なことでもいいので無理のないエントリーをして利幅を伸ばすことは鉄則です。そのためファンダメンタルズ分析で方向性を定めたからと言ってすぐにエントリーすることは絶対にやめましょう。
ファンダメンタルズ分析をまず行ってからテクニカル分析に移るようにしてください。
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の併用時の注意点
次にファンダメンタルズ分析とテクニカル分析を併用するにあたっての注意点について解説します。
それは「短期トレードでは意味がないから短期トレードはしないこと」です。
ファンダメンタルズ分析で方向性を決めて翌日にその方向に動くことはまずありません。
また大事なことはファンダメンタルズ分析を行った時に自分自身でイメージする「時間軸」です。
ニュースを見て価格にどのように影響をするのかということを分析しますが、それに加えて常に考えることは「どのくらいの時間軸で反応するのか、そして効果が持続するのか」です。
1ヶ月で価格が動いていくのか、それとも1年を通じて予想したプライスアクションになるのかということがとても大事です。
このファンダメンタルズ分析時の時間軸を考えないと、次のテクニカル分析で利用するローソク足の時間軸も設定ができなくなってしまいます。一つ一つのトレードにトレーダーが予想したシナリオがあり、シナリオの中に上下の変動だけはなく横の時間軸もあることを頭に入れておきましょう。
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の併用方法
次から本題に入りたいと思います。ここでは実際の現在の私が予想している実際の考え方に基づいて解説します。(記事を執筆したのは2020年5月3日時点です。)
ファンダメンタルズ分析でまず方向性を予想したいと思います。ここで予想するのは「ビットコイン」の予想をしていきます。
現在私がポイントとしているのは下記のポイントです。
ビットコインの半減期到来
最初の大きなポイントは「半減期」です。これは過去半減期までは対象通貨は上昇しやすいというアノマリー(≒マーケットの規則性)があります。実際に仮想通貨の相場は上昇の一途を辿っており、100万円を回復する場面もありました。
半減期というのは仮想通貨特有のイベントで、「マイニングの報酬が半分になるタイミングであり、発行量が半減する」ということです。ではなぜこれで価格が上昇するのか理解しましょう。
需要と供給を考えた時に供給サイドが半分になるということになるため、需給がタイトになります。そのため価格の下落圧力がかかりにくいという考えに基づいているということです。
当然理論上下がりにくいというだけであり、実際には下落したこともありますし、いつ上昇するのか?ということは誰もわかりません。上昇圧力がかかりやすいということは覚えておきましょう。
金融緩和による市場流動性の向上
次のポイントは各国の政府や中央銀行が行なっている景気刺激策です。
これは市場に出回るお金の量を増加させることになり、景気を下支えしようとします。リーマンショック時も同じような政策を行い株価が大きく上昇した経緯があります。
これは金余りの状態が恒常的に発生するため、余ったお金が投資対象の有価証券やコモディティに流入していました。当時は仮想通貨というものはありませんでしたが、現在は時価総額数十兆円あるマーケットであり、影響を受けると考えています。
最近では新型コロナウイルスでの政府からの特別給付金がこれにあたるでしょう。
投資家の変化
最後に大事なポイントは「仮想通貨市場の投資家の変化」です。
2018年のバブル崩壊までは個人投資家のマーケットでしたが現在は機関投資家が参入しており、ビットコインのドミナンス(≒シェア、占有率)の変化から機関投資家がビットコインを所有することを選好しているという状況が予想できます。この動きは今後も継続すると考えているためポイントとして入れています。
この3点からビットコインは長期的に上昇すると考えており、時間軸も半年以上から1年程度を見込んでいるため、方向性と時間軸がまとまったところでテクニカル分析に入ります。
上記の場合テクニカル分析で利用するローソク足の時間軸は8時間から日足を利用することになります。
テクニカル分析の考え方
最後にテクニカル分析でエントリーのタイミングを考えていきます。
下記はbybitの日足チャートです。テクニカル分析と言っても正直複雑に考える必要なんてありません。例として下記のような移動平均線1本でも最初はいいと思います。
下記の移動平均線は私が好んで利用している「62日指数平滑移動平均線」というものです。
このようにしてみると移動平均線の方向にトレンドが継続しやすいことが理解できるでしょう。
では例えば今日ファンダメンタルズ分析から結論を導き出し、上記のチャートを見たとします。ではここでロングポジションでエントリーするのかというと答えは「NO」です。
移動平均線には価格が収斂しやすいという特性を持っています。現在の位置を確認すると移動平均線から乖離してしまっており、移動平均線まで価格が戻ってきたら(移動平均線にローソク足がタッチしたら)ロングでエントリーしましょう。
また移動平均線が上向いていることが条件になるためそこも注意しましょう。
たったこれだけのルール設定でも、ファンダメンタルズ分析のみでエントリーした場合と、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析でエントリーした場合におけるエントリーのコストが格段に異なります。つまりリスクリワードのいいトレードが可能となるということです。
これはファンダメンタルズ分析とテクニカル分析を併用するためにどのようなプロセスで考えていくべきかの一例になります。私自身はこのような思考回路でトレードすることもあり、ルールを決めたら徹底してルール通りにトレードを行うことが大切と考えています。
是非このように自分なりのファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の使い方を考えながら実践し繰り返し練習するようにしましょう。ファンダメンタルズ分析は前回解説したように一朝一夕に身につくものではないので繰り返し常に考えることが大切です。
次回は実際のテクニカル手法を例を交えて具体的に解説していきたいと思います。
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※当サイトコンテンツは仮想通貨の相場等に関連するトレード初心者が学ぶための情報の提供を目的としたコラムです。特定の投資方法等を推奨するものではありません。また投資の勧誘を目的とするものでもありません。
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