ノックアウトオプションあらかじめ最大損失を設定できるサービスです。
リスクが限定されるため、投資初心者の方にもおすすめのオプション取引といわれていますが、FX取引よりも大きいレバレッジ効果があるため、実は投資上級者の方にも向いている取引といえます。
ノックアウトオプションは、国内証券会社ではIG証券が取り扱っていることでも知られています。
この記事ではノックアウトオプションのレバレッジ効果について解説していきます。
IG証券の概要
まずはノックアウトオプションを取り扱っているIG証券の概要について紹介します。
IG証券はイギリスのロンドンに本拠地を置き、45年以上の歴史を持つ老舗の金融サービスプロバイダーです。
日本では2008年より金融サービスを展開しており、ノックアウトオプション取引の他に、FXやCFD、バイナリーオプションなど様々な金融商品を提供している証券会社です。
ノックアウトオプションについて
ノックアウトオプションの最大の特徴は、取引のはじめにノックアウト価格(損切り水準)を設定することです。ノックアウト価格に達すると自動的にポジションが決済されるため、トレーダーは最初に設定した水準以上の損失を抱えることがありません。
またノックアウトオプションは通貨だけでなく、株価指数や金・原油などの現物商品など様々な金融商品が対象となっています。そのためマーケット動向や自身の投資意向に合わせて、様々な商品に投資する楽しみがあるといえるでしょう。
FX取引のレバレッジとは違う?
ノックアウトオプションではFX取引よりも大きなレバレッジ効果が得られます。ここからはノックアウトオプションとFX取引のレバレッジの違いについて解説していきます。
ノックアウトオプションでのレバレッジ取引
日本国内のFX業者では、最大25倍までのレバレッジをかけた取引が可能となっています。
たとえば、10万円の運用資金に25倍のレバレッジをかけると、10万円×25倍=250万円の資金で取引ができることとなります。
一方、ノックアウトオプションでは、最大損失額を設定した水準からオプション料が計算される仕組みとなります。
たとえば1万通貨を取引する際、100円で購入したポジションを99.9円でノックアウトするように設定したとします。
この場合のノックアウトオプションのオプション料は(100円-99.9円)×1万通貨=1000円となり、つまり1000円のオプション料で1万通貨の取引ができることとなります。
これはレバレッジ倍率でいうと1000倍となり、FX取引でのレバレッジよりも大きくなることが分かります。
ただし上記の例はレバレッジ倍率の計算が分かりやすいように、ノックアウトプレミアムにかかるコストを省いています。
実際はオプション料にに加えてノックアウトプレミアムがかかるため、単純にレバレッジの比較ができるわけではない点に注意してください。
しかしノックアウトプレミアムも1ポイント100円程度のものであるため、先ほどの例で示した結果から大きく乖離するわけではないといえるでしょう。
25倍以上のレバレッジ効果がある
実際にIG証券にてドル円でノックアウトオプション取引をした際について、どれくらいのレバレッジ倍率となるのか、以下の表でまとめています。
ノックアウト価格までの幅 | オプション料 | ノックアウトプレミアム (1ポイントの場合) | 実質レバレッジ倍率 |
10銭 | 1000円 | 100円 | 909倍 |
50銭 | 5000円 | 100円 | 196倍 |
1円 | 10000円 | 100円 | 99倍 |
FX取引でのレバレッジは最大25倍までとなっていることに比べて、ノックアウトオプションではより大きなレバレッジ効果が得られることが分かります。
ノックアウトオプションのメリット
ここからはノックアウトオプションのメリットについて解説していきます。
あらかじめ損失が限定される
ノックアウトオプションの最大のメリットとして、あらかじめ損失が限定されることが挙げられます。
ノックアウトオプションでは、取引の最初にノックアウト価格を設定します。ノックアウト価格の水準に達すると自動的にポジションが決済されるため、あらかじめ設定した以上の損失が発生しません。
そのため「オプション取引を始めてみたいけど、大きな損失を抱えるリスクが怖い」と考えている初心者の方におすすめの取引といえるでしょう。
FX取引よりも大きなレバレッジ効果がある
上記の表で示した通り、ノックアウトオプションではFX取引よりも大きなレバレッジ効果が得られます。
FX取引ではレバレッジが最大25倍であることに比べ、ノックアウトオプションでは1000倍以上となることもあるため、資金効率がいいといえるでしょう。より少ない資金で大きな利益を狙いたいと考えている人におすすめの取引といえます。
少額投資が可能
ノックアウトオプションでは、ノックアウト価格の設定次第で少額取引が可能になります。
たとえばFX取引では1万通貨を25倍のレバレッジで決済するとき、約4万円の証拠金が必要になります。(1ドル=100円の場合)
ノックアウトオプションでは、同じケースで99.9円にノックアウト価格を設定すると、オプション料は1,000円となりFX取引に比べ少額で済むことが分かります。
ノックアウトオプションはFX取引によりも少額で投資ができるため、「いきなり大きい資金で運用するのは怖い」と感じる初心者の方にもおすすめのオプション取引です。
ノックアウトオプションのデメリット
様々なメリットが挙げられるノックアウトオプションですが、併せてデメリットについても確認しておきましょう。
指値注文ができない
ノックアウトオプションは注文方法が成行注文のみとなっており、指値注文ができません。
エントリーしたい価格がある場合は、チャートを注視しながら注文を入れる必要があるため、手間がかかると感じる方もいるでしょう。
ただし決済の際には指値・逆指値注文が可能となっています。
スプレッドが広めに設定されている
FX取引と比べ、ノックアウトオプションではスプレッドが広めに設定されています。
メジャーな運用手法であるFX取引は、各社が顧客獲得のため運用コストを低く設定する傾向にあります。
しかしノックアウトオプションはまだマイナーなオプション取引であるため、FX取引ほど価格競争が激化していません。ノックアウトオプションのスプレッドが広めに設定されているのは、こうした背景が影響しているといえるでしょう。
そのため1日に何回も取引を繰り返したいという方にとっては、FX取引よりも高コストだと感じるかもしれません。
まとめ
あらかじめ最大損失が設定できるノックアウトオプションは、FX取引に比べより大きなレバレッジ効果が得られます。
ノックアウト価格の水準からオプション料を計算するため、ノックアウト価格の幅によってはレバレッジ倍率が1000倍以上となることもあります。そのためFX取引と比べて資金効率がいいといえるでしょう。
またFX取引ではレバレッジが大きくなるほどリスクが大きくなりますが、ノックアウトオプションではリスクが限定されることも魅力のひとつです。あらかじめ設定したノックアウト価格に達すると自動でポジションが決済されるため、想定上の損失を抱えることがありません。大きなレバレッジ効果がありながら、リスクが限定されるノックアウトオプションは投資初心者、上級者ともにおすすめのオプション取引といえるでしょう。