ポルカドット(Polkadot)の概要
DOTの概要 | ||
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基本情報 | 仮想通貨名 | ポルカドット(Polkadot) |
ティッカーシンボル | DOT | |
発行開始年月 | 2017年10月 | |
主な利用用途 | 異なるブロックチェーンをつなぐことのできる新たなウェブの構築、dApps(分散型アプリケーション)の開発 | |
発行状況 | 発行主体 | なし(Web3 Foundationが運営している₎ |
発行方法 | ステーキングの報酬として発行される | |
上限発行量 | なし | |
発行可能数の変更 | 不可 | |
発行予定・発行条件 | 1ブロックを生成するごとに、ステーキング参加者に報酬として発行される。ポルカドットのブロック生成プロセスでは参加者は4つの役割が割り振られ、それぞれで報酬を得る。 | |
価格移転記録 | コンセンサスアルゴリズム | NPoS(Nominated Proof of Stake) |
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ポルカドット(Polkadot)の発行主体(財団など)について解説
ポルカドットには発行主体は存在しません。ポルカドットはオープンソースに公開されており、誰でも発行に関わることが可能です。
しかしWeb3財団(Web3 Foundation)という財団がポルカドットに関するプロダクトの開発や助成活動、宣伝活動などを行っています。Web3財団はポルカドットを開発したほか、ポルカドットに関連した別のプロジェクトも進行させています。
内容としてはポルカドットとほぼ同様の構造を有し、ネットワークのアップデートを高速で行うことができるテストネットとしての仮想通貨Kusama(クサマ)や分散型メッセージングプロトコルを構築するXCMP(Cross-chain Message Passing)などが代表的です。
ポルカドット(Polkadot)のCEOについて
ポルカドットはギャビン・ウッド氏、ロバート・ハーバーマイヤー氏、ピーター・チャバン氏の3人が共同で創設しました。
中でも中心的な役割を果たしたのがギャビン・ウッド氏です。ウッド氏はポルカドットの共同創設者であると共に、イーサリアムの共同創設者のひとりとしても知られています。
イギリス出身で、ヨーク大学を卒業後にMicrosoft(マイクロソフト)の科学者として仕事をし、後にヴィタリック・ブテリン氏らによるイーサリアムの開発チームに参加しました。イーサリアムはブテリン氏が構想を示しましたが、この構想を学術的なレベルにまで整理したのはウッド氏だと言われています。
イーサリアムの公開後、ウッド氏はイーサリアム財団(Ethereum Foundation)の初代CTOに就任します。しかし2016年に財団を離れ、Parity Technologyというイーサリアムネットワークで動作するソフトウェア開発企業を設立しました。ポルカドットの開発を行ったのもParity Technologyです。
ウッド氏は同じ2016年の11月にポルカドットのホワイトペーパーをリリースしています。Web3財団でも理事長を務めています。
ポルカドット(Polkadot)のCTOについて
ポルカドットの共同創設者の中でも技術面で大きな役割を果たしたのが、ロバート・ハーバーマイヤー氏です。ロバート氏はブロックチェーンや分散システム、暗号学について研究してきた実績があり、ティール・フェローシップに選ばれています。
ティール・フェローシップはPayPalの創業者であるピーター・ティール氏が2011年に開始した研究奨励金です。若手起業家を応援することを目的としており、大学中退を条件に研究資金などを融資します。
ティール・フェローシップに選ばれた人物としてはイーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン氏や14歳で核融合実験を行ったテイラー・ウィルソン氏、自動運転技術の開発を行うLuminar Technologiesの創業者であるオースティン・ラッセル氏などが挙げられます。
ロバート氏は2016年5月にParity Technologyに入社し、コア開発者としてソフトウェア開発に従事し、ポルカドットの共同創設者となりました。またロバート氏はブロックチェーン技術に精通するほか、Rustというプログラミング言語のコミュニティのメンバーでもあります。ポルカドットの開発においてもRustを活用することで高度に並列化された高パフォーマンスのソリューションの開発を目指しています。
ポルカドット(Polkadot)のその他主要人物について
共同創設者のひとりであるピーター・チャバン氏はWeb3財団で技術ディレクターとして、ポルカドットの分散化技術を伝え、技術者の養成に務めています。
チャバン氏はオックスフォード大学で機械学習に関して研究し、エンジニアリングの学位を取得しました。大学在学中からインターンとして多くのシステム開発企業でエンジニアとして経験を積み、2016年6月にはParity Technologyに入社、ポルカドットの共同創設者となりました。
Web3財団に入ったのちはCTOや事務局長を歴任し、現在は技術ディレクターを務めています。技術者の養成はプロジェクトにとっても重要な問題のひとつです。今後ポルカドットの活躍の場が広がれば、チャバン氏の功績も多く聞かれることになるかもしれません。
ポルカドット(Polkadot)の発行方法、発行条件
ポルカドットではブロックを承認するごとに、承認に関わったノードへの報酬として新たに発行されます。ポルカドットで承認に参加するためには、一定量のポルカドットをステーキングしなくてはなりません。
またポルカドットにはビットコインなどの仮想通貨とは異なり、上限発行量が存在しません。現在では10億DOT以上が発行されています。ステーキング参加者への報酬はポルカドットの内部で厳密にモデル化されており、ステーキング総額に応じて変動する仕組みとなっています。
またバーンなどで流通量をコントロールし、価格を上昇させる仕組みもポルカドットには存在しません。ポルカドットはインフレを続ける仮想通貨であり、エコシステムが拡大し、ユースケースが増えることで価値を増大させようとしています。
ポルカドット(Polkadot)のコンセンサスアルゴリズム
ポルカドットはコンセンサスアルゴリズムとしてNPoS(Nominated Proof of Stake)を採用しています。名前の通り、NPoSはPoSを発展させた仕組みです。
Nominatedは英語で「指名された」という意味の言葉です。NPoSではノードに「Validator(バリデーター)」、「Collator(コレーター)」、「Nominater(ノミネーター)」、「Fisherman(フィッシャーマン)」という4つの役割を割り振り、トランザクションの承認を行っています。実際の承認過程に沿ってそれぞれの役割について紹介しましょう。
まずトランザクションを承認するときには、コレーターがトランザクションをブロックにまとめます。PoWにおけるマイナーと近い役割です。コレーターは自分のまとめたブロックが承認されることで報酬を得ます。
そしてコレーターのまとめたブロックをバリデーターが承認します。バリデーターはステーキング量に応じて候補が選出され、ノミネーターがサポートすることでブロックの承認役として選ばれる仕組みです。バリデーターはブロックを承認することで、ノミネーターは自分が選んだバリデーターがブロックを承認することでそれぞれ報酬を得ます。
フィッシャーマンはポルカドットのネットワークを守る役目です。もしバリデーターが不正を行った場合、フィッシャーマンが不正を検知して通報します。不正を明らかにしたフィッシャーマンは不正を行っていたバリデーターがステーキングしていたポルカドットを受け取ります。
メリット
NPoSはPoSを発展させ、欠点を克服したコンセンサスアルゴリズムです。PoSと比べて分散化が進み、よりセキュリティを確保しやすい点がメリットとして挙げられるでしょう。
NPoSではステーキング額の多いノードがバリデーター候補として選出され、ノミネーターの投票を通してバリデーターを決定します。このとき例えば複数のノードが結託し、独占的にバリデーターを選出するリスクが想定されます。
しかしNPoSではこのリスクに対応し、各バリデーター候補がほぼ均等に投票されるような仕組みを採用しました。具体的にはサポートするノミネーターが多ければ多いほど、ノミネーター報酬が少なくなるようにしたのです。
この仕組みによってノミネーターは報酬を確保するためにサポートの多いバリデーターを回避し、より少ないバリデーターを積極的にサポートしようとします。結果としてバリデーターのサポートは均等化され、より分散化されるのです。
デメリット
一方でNPoSではバリデーターによる中央集権化の可能性を完全に排することはできません。NPoSでバリデーター候補になるためには多額のポルカドットをステーキングし、常時ネットワークに接続できる環境にいる必要があります。
そのためバリデーターになれるノードはごくわずかです。中央集権化を回避するためにノミネーターによるサポートを設け、不正を働いたバリデーターはステーキングした通貨を没収される仕組みも整備されています。
今後ポルカドットがエコシステムを拡大させることで、中央集権化が進むことによるデメリットが表面化する可能性もあるでしょう。
ポルカドット(Polkadot)のプロジェクトポリシー(発足の目的・背景など)
ポルカドットはWeb3と言われる次世代のウェブを構築するプロジェクトです。Web3とはポルカドットの共同創設者であるギャビン・ウッドが提唱したものです。
ウェブの歴史はこれまでWeb1、Web2と進化してきました。Web1はホームページなどを一方的に閲覧するもの、Web2はSNSの発達により双方向的に発信・閲覧できるものです。
またWeb1、Web2はGoogleやFacebookなどのプラットフォーマーが利用者の個人情報などを集めた中央集権的なものであり、個人情報の悪用や不正アクセスによる流出などのリスクがあります。
そこでポルカドットはブロックチェーン技術を活用し、Web3、すなわち個人情報を自分の手で管理できる分散化されたウェブの構築を目指しているのです。
また特にポルカドットは従来のブロックチェーンから差別化を図るために相互運用性の高いウェブの構築を目指しています。ブロックチェーンをシームレスにつなぐことでポルカドット単体で完結しない、真に分散化されたウェブを構築することができます。
ポルカドットのネットワークは従来のブロックチェーンプロジェクトとは異なり、単独のブロックチェーンでは完結しません。「Relay Chain(リレーチェーン)」、「パラチェーン(Parachain)」、「ブリッジ(Bridge)」と言われる複数のブロックチェーンによって構成されています。
リレーチェーンはポルカドットの中核的なブロックチェーンです。ポルカドットが提供する相互運用の中心として機能するだけでなく、トランザクションの処理やセキュリティなども一手に担います。
パラチェーンはリレーチェーンから独立して存在し、特定のユースケースを持ったブロックチェーンです。セキュリティはリレーチェーンに依存していますが、独自トークンの有無やブロックの生成速度、コンセンサスアルゴリズム、取引手数料などの設定は各パラチェーンごとに設定することができます。スマートコントラクトもパラチェーン上で設定でき、dAppsの構築も可能です。
ポルカドットはSubstrate(サブストレート)という、ブロックチェーンを構築するためのフレームワークを提供しています。サブストレートを利用することで、簡単に各ユースケースに沿ったパラチェーンを作ることができます。
ブリッジは各パラチェーンとリレーチェーンをつなぐ役割を持つ特別なパラチェーンです。パラチェーン同士ではなく、必ずリレーチェーンとつなぎます。ブリッジを介してパラチェーンに記録されたデータがリレーチェーンへ送られることで、各パラチェーンでデータの参照やコミュニケーションが可能となります。またブリッジはパラチェーンだけでなく、ビットコインなどの他の仮想通貨のブロックチェーンもリレーチェーンに接続可能です。
ポルカドットはリレーチェーンを介して複数のブロックチェーンを接続し、すべてを並行して実行することができます。それぞれのチェーンでトランザクションを処理可能であるため、その処理能力は従来のものより遥かに高くなります。
ポルカドットのネイティブトークンであるポルカドット(DOT)は、ポルカドットのネットワークにおいて、ガバナンス投票とセキュリティ、更にポンディングという3つの役割を有しています。
DOTの保有者はプロトコルのアップデートや仕様変更などに対して、投票を通して意思決定をすることが可能です。またブロックの生成に関与し、セキュリティの維持に務める見返りに報酬を受け取れます。
そしてDOTトークンの保有者は、トークンをネットワークに結合することでパラチェーンを作成することができます。また結合を解除することでパラチェーンの削除が可能です。この仕組みをポンディングと呼びます。
ポルカドット(Polkadot)のアライアンス、過去のビッグニュース
最後にポルカドットに関する過去の大きなニュースを紹介します。
2021年4月2日 ポルカドットが仮想通貨Chainlink(チェインリンク)とのオラクル機能の統合完了を発表
この日、ポルカドットは仮想通貨Chainlink(チェインリンク)とのオラクル機能の統合が完了したことを発表しました。ポルカドットのネットワーク内でチェインリンクのオラクル機能を利用できるようになるため、ポルカドットはコアプロダクトの開発に注力することができます。
オラクルとはブロックチェーンの外に存在するデータをブロックチェーン内に取り込むことを言います。チェインリンクはブロックチェーンとそれ以外のネットの仲介役(ミドルネット)として両者を接続する分散型オラクルプラットフォームを提供するプログラムです。
チェインリンクはTezos(テゾス)やEthereum Classic(イーサリアムクラシック)などとも連携するほか、2020年6月には中国の国家ブロックチェーンプロジェクトであるBSN(Blockchain Service Network)とも提携しています。
ポルカドットとチェインリンクのオラクル機能の統合は2020年2月には既に予定を発表されていました。分散型オラクルは分散型取引所(DEX)をはじめとするDeFi(分散型金融)分野において多くのユースケースが見込まれており、ポルカドットのユースケースの拡大が期待できます。
2021年4月14日 Stake Technologies(ステイクテクノロジーズ)がPlasm Network(プラズムネットワーク)とポルカドットの相互接続に成功したことを発表
この日、Stake Technologies(ステイクテクノロジーズ)は自社で開発するPlasm Network(プラズムネットワーク)がテストネット上でポルカドットとCosmos(コスモス)との接続テストに成功したことを発表しました。
ステイクテクノロジーズは2019年1月に日本で設立されたスタートアップです。ブロックチェーン事業を手がけており、プラズムネットワークを開発しています。
プラズムネットワークはサブストレートを用いて開発されたパブリックブロックチェーンで、現在のブロックチェーンのボトルネックとなっている相互運用性と処理性能を解決することを目標としています。
2021年2月9日にはBinance Labs(バイナンスラボ)をリード投資家に、5つの投資ファンドから計2億5000万円相当の資金を調達しました。
プラズムネットワークは今後メインネットのひとつであるShiden Network(シデンネットワーク)にポルカドットとコスモスのブリッジをそれぞれ設置する計画です。
ポルカドットとコスモスは共に相互運用性に重点を置いた新しいウェブの構築を目指す競合関係にあるプロジェクトです。プラズムネットワークは両者の間に入り、仲介役となることで両者の共存を目指していく方針を明らかにしています。
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