暗号資産市場は比較的新しい市場ですが、現在では大きな市場に成長してきています。
取引も投機に近い取引が続いていましたが、最近では仮想通貨においても中長期的に保有する投資家が機関投資家を中心に再度現れるようになってきています。
しかし、仮想通貨はまだ伝統的なアセットクラスと比較すると流動性が低い状況です。
これまでは仮想通貨に手を出せなかった人でも「仮想通貨を始めてみたいけど、毎日見てられない」と思うことがあるでしょう。そこでおすすめしたいのが、仮想通貨の積立投資です。
今回はコインチェックが提供する仮想通貨の積立サービスの使い方と仮想通貨積立の注意点について解説します。
コインチェックの積立サービスとは?
コインチェックは「Coincheckつみたて」という積立サービスを提供しています。
Coincheckつみたてでは毎月最低1万円から積立を行うことができます。2020年3月からは「毎日つみたてプラン」の提供を始め、より細かなスケジュールで自動的に積み立てることができるようになりました。
Coincheckつみたてでは銀行口座を指定し、コインチェックのアカウントと連動させることで、定めた日に積立がされるようになります。
現在積立可能な通貨は「BTC」,「ETH」,「ETC」,「LSK」,「XRP」,「XEM」,「LTC」,「BCH」,「MONA」,「XLM」,「QTUM」, 「BAT」,「IOST」,「ENJ」,「OMG」の15種類です。この通貨数の豊富さはコインチェックの大きな売りの一つと言えるでしょう。
日本ではJVCEAの新規通貨審査を通り、金融庁のホワイトリストに載せてもらわないと新規通貨として取り扱いができません。しかしコインチェックはJVCEAや金融庁ともよい関係を築いているようで、2021年4月にはコインチェックの代表取締役がJVCEAの会長に就任しています。そのため新規通貨の上場も積極的に行えるようになり、「コインチェック=新規通貨」という印象が日本でも強くイメージされることが多くなりました。
ここからは、積立を行うにあたっての一般的な知識と仮想通貨における積立の注意点についてご紹介したいと思います。
積立投資による資産形成の基本の考え方を紹介
最初に積立投資による資産形成の基本の考え方として「ドルコスト平均法」について説明します。
ドルコスト平均法とは毎月同じ金額で同じ商品を購入することによって、平均単価を抑える方法です。
市場の変化に関係なく同じ金額で購入するため、高い時は少量しか購入出来ないものの、大きく下落している場面では多くの量を買うことができ、平均購入単価は長期的には安定します。資産運用では有名な投資法の一つで、特に外国為替の取引(現物、FXを含む)で行われているケースが多いです。
例として3回に分けて毎月1万円ビットコインを購入したとします。ビットコイン/円のレートが下記の場合だったとすると
初月:1,000,000円
2ヶ月目:900,000円
3ヶ月目:800,000円
この3ヶ月間で見ると価格は20%下落していますが、3回に分けて購入していることで平均購入単価は「900,000円」ということになります。
つまり900,000円まで価格が上昇すると損益は「0」となり、それ以上上昇した分は利益となります。
これがドルコスト平均法の考え方です。
ドルコスト平均法はなぜFXで利用されるのか?
次にドルコスト平均法がなぜFXの世界で利用されているのかという点を説明します。「仮想通貨の積立なのにFXで使われている理由なんて関係ないのではないか?」と読まれて思われる方もいると思います。
しかし仮想通貨でドルコスト平均法の積立を利用するにおいても大事な内容ですので、必ず理解してください。
FX(外国為替証拠金取引)は「ドル円」や「トルコリラ円」等の各国の通貨をドルコスト平均法で購入して長期的に運用し、価格が上昇したタイミングで売ることを考えて資産運用を行なっている投資家が多いマーケットです。
この理由としては、次の2点が挙げられます。
①FXの世界は、過去長い歴史の値動きがありヒストリカルチャートで大きなレンジが形成されていることから、いつか価格が戻ってくると期待できること
②法定通貨には「通貨金利」と呼ばれる金利が発生するため(スワップポイントとFXの世界では呼ばれているもの)、高金利通貨を保有し低金利通貨を売っておくポジションを作ることで毎日少なからず金利が享受できること
この2点が大きな要因として存在します。
では次に仮想通貨とFXで積立する場合の注意点について説明します。
仮想通貨とFXのドルコスト平均法の違い
ここからCoincheckでつみたてサービスを利用して積み立てる前に注意しておくべき点をFXの積立と比較しながら理解しましょう。
例えばドル円の過去の長期チャートをご覧ください。
これは1987年からのドル円相場です。下は80円付近で止まっており、上昇しても120円から130円で止まる可能性があるようなチャートの動きになっています。
つまり下落した時に淡々とドルコスト平均法で購入しながら平均単価を下落させることで、国同士の通貨価値の変動だからどこかで止まるということがチャートから想像ができます。
だからFXでドルコスト平均法や利用しやすいということです。
次にビットコイン円のチャートをご覧ください。
仮想通貨の歴史は短く、ビットコインのチャートも2013年からのまだ8年程度しかありません。
安値は1万円程度、高値は700万円超と非常に幅が大きく、また全体を見るとチャートは右肩上がりの形となっており、どこがレンジになるのか全く分かりません。
ドルコスト平均法はレンジ内で価格を推移させることで平均購入単価を安定させる手法であるため、仮想通貨のようなチャートでは利用しにくくなってしまいます。
また最初に例として示したドル円の場合、米国の政策金利が日本の政策金利よりも高い状態が継続的に続いています。そのため通貨金利の差におけるスワップポイントをここ20年程度もらい続けることが可能でした。現在でも年間数%の金利が享受できます。
仮にFXで年間2%の金利を受け取った場合、10年間積み立てると20%の金利を享受できることになります。つまり平均購入単価から、実は20%下落しているということです。その分より利益を出しやすくなります。
一方仮想通貨は日本では「コモディティ」扱いです。つまり原油や貴金属と同じ扱いで、通貨金利はありません。保有しても一銭も入ってこないことから、保有している間に数%得ることができるFXと違って、平均購入単価が改善されることはないという点は大きなポイントです。
歴史が浅く、FXのような大きなレンジが存在しない点とコモディティであるために平均購入単価を抑えることができない点は、仮想通貨の積立を行う場合に注意すべき部分です。
しかし仮想通貨積立自体が悪いわけではありません。積立手法によっては充分に利益を狙うことができます。最後にコインチェックを使った、仮想通貨の具体的な積立手法について紹介をします。
コインチェックでのおすすめ積立手法と注意点
Coincheckつみたてのおすすめの使い方は「積立を流動性の高い2種類に絞って行うこと」です。
現在はコロナショックの影響により、世界各国が「量的緩和」と言われる金融緩和政策を実施し、大量の資金を市場に供給しています。つまり、景気が悪くなっていることからお金を市場に放出してお金の巡りをよくするということです。
その動きから余ったお金の一部が仮想通貨市場に流入し、2021年に入ると仮想通貨市場が急騰しました。
仮想通貨市場の中で最も市場占有率が高い通貨が「ビットコイン(BTC)」です。つまり、市場参加者の多くがビットコインに投資をしているということです。
ビットコインは2021年に入ると価格が大きく上昇し、2021年4月には700万円台に到達。一時価格は急落しましたが、10月には再び700万円台に戻りました。
ビットコインはコロナショック対策による資金の流入が最も期待できる通貨です。積み立てることで今後大きな上昇が起きた場合のメリットが大きく、積み立てを行う価値がある通貨でしょう。
積み立てはビットコインだけでもいいですが、もう一つ通貨を増やしたい場合は「イーサリアム(ETH)」も選択肢に入ります。
ビットコイン以外の仮想通貨であるアルトコインも大きく値上がりしており、ビットコインの市場占有率も現在は下がっています。2019年までは60%以上を占めていることが珍しくなかったですが、2021年に入ってからは40%台にまで下落しました。
イーサリアムは流動性がビットコインに次いで大きく、技術も実用化が進んでいます。また2020年12月から大型アップデートを実施しており、完了すれば今以上の価格上昇が期待できます。イーサリアムは長期的に積立を行なってもいい通貨と言えるでしょう。
まとめ
仮想通貨はFXよりも値動きが大きく、上昇した場合の利益の期待値が大きいです。
上昇率を考えるとFXの金利は気にならないほどのリターンになる可能性も当然あります。
Coincheckつみたてで仮想通貨の積立当初をするときは無理のない範囲で積立金額を設定し、その中で更に2通貨に投資を分散することで、可能な限り過度なリスクは取らないようにしましょう。一度積立を決めたらあまり触らず、忘れるくらいの意識で長期で行うことが大切です。しかし仮想通貨はレンジが不透明なため下落した場合にどこまで下落するのか分かりません。念のため自身でここまで下落したらやめようというラインは設けておくべきことをおすすめします。