HYIPとは?
HYIPは、High Yield Investment Programの略称のことで、「高収益投資プログラム」という意味になっています。HYIPの特徴は、その名の通り、異常といってよいほどの高利回りを提供するという投資商品であるということであり、日利1%というのは普通で、中には日利2~3%、10%などというものまであります。
HYIPは、一見すると非常に魅力的で合理的な投資商品と見えるものが多いのですが、投資商品としての将来性や安全性、信頼性などは一切保証されていません。このような商品の性格上、これまでの金融商品同様に詐欺案件が多いという問題があります。
HYIPの仕組み
集めた資金を高利回りの金融商品やビジネスに投資し、配当として還元
HYIPの仕組みは、HYIP運営者、投資家、投資先案件から成り立ちます。HYIP運営者は、まずセミナーやパーティーなどで顧客となる投資家ユーザーを集客します。
HYIPプログラムの多くは、通常の信託やファンドとは異なり、投資したお金に利息が付いて返却されるというものではなく、一定の運営益を受け取るという権利を購入するという形で投資家ユーザーはHYIPに参加します。
HYIP運営者は、集めた資金をビジネスや投資案件に投資して資金を増やしますが、日利で1%以上稼げるようなビジネスは、通常存在していないため、ビットコインなどのボラティリティが高い仮想通貨が投資対象となることが多いです。
もし運営者の投資が成功すれば、投資家に日利2%などの契約した配当が支払われます。例えば、10万円投資していれば、日利2%の契約では毎日2000円以上の配当となり、複利計算で30日間の利息は8万円強となり、1か月強で元本は回収され、それ以降の配当は利益となります。
しかし、運営が投資に失敗した場合は配当を受け取ることはできなくなるため、非常にリスクが高いと言えます。
MLMの仕組みを用いて、投資家を集める
ほとんどのHYIPは、MLM(マルチレベルマーケティング・ネットワークビジネス)の仕組みも採用しており、投資家であるユーザーは他のユーザーを紹介することで、紹介報酬を得ることができます。
そのため、他ユーザーを紹介した投資家は、HYIP運営者から通常の配当に加えて、紹介報酬を受け取ることができ、紹介者を増やすほど多額の配当と紹介報酬が得られるという仕組みになっています。
しかし、この紹介報酬は階層的な仕組みを持っていることがほとんどで、早いうちに参加した人は多くの報酬を受け取ることができますが、後から参加すればするほど、早期参加者と比較して恩恵を受けにくいという特徴があります。
HYIPには、ポンジスキームやネズミ講などの詐欺案件が混ざっている
HYIPは一見すると、高利回りの魅力的な投資商品に見えることがありますが、その中にはポンジスキームやネズミ講などの詐欺案件が混じっていることが少なくないため、注意が必要になります。
ポンジスキームとは、出資資金を運用しているように見せかけて、実際には後から参加したユーザーの出資金を配当として渡すことで、ユーザーには投資がうまくいっているように見せかけるというスキームです。
また、ネズミ講は、創設者がメンバーを勧誘して入会金を徴収し、メンバーは新規メンバーを勧誘することで入会金の一部を報酬として得ることができ、この流れがピラミッド式に繋がっていく仕組みのことです。
ねずみ講は、ピラミッドの下に行けば行くほど儲からない仕組みとなっていますので、MLMと似ている仕組みを取っていますが、MLMとは異なり違法とされています。
これまでに飛んだHYIP案件
ライトライズ
ライトライズとは、2016年後半にスタートしたHYIPで、「イギリス政府公認」「月利40%」という触れ込みで登場したものです。ライトライズは、口コミや人気芸能人の画像を使用することで、HYIPの優良案件と目されていました。
ところが、2017年3月5日には出資合計額1億ドル以上(およそ110億円以上)を抱えて飛んでしまい、イギリス政府公認はもちろん嘘で、人気芸能人の画像も無断使用だったことが判明しました。
ライトライズのビジネスモデルは、「高速道路の速度感知センサーを開発し、これによる違反者の反則金の4割が会社に支払われる契約を結んだ」というもので、冷静に考えれば、ありえない話であることはすぐにわかるはずなのですが、意外と多くの人がこのような詐欺に引っかかります。
ビットコネクト
ビットコネクト案件は典型的なポンジスキーム型のHYIP案件といわれています。2016年2月に仮想通貨コミュニティのプラットフォームとして誕生したビットコネクトは、11月には独自仮想通貨ビットコネクト(BCC)を発行し、時価総額は一時3000億円まで膨らみます。
ビットコネクトの特徴は、貸し付けたり持っているだけで最高60%の利息がもらえるというもので、これも通常では考えられないような投資商品でした。
このような商品が長続きするはずもなく、2018年1月にはノースカロライナ州とテキサス州から業務停止命令を受けBCCトークンは暴落、プラットフォームは閉鎖に追い込まれました。
さらに、トークン発行による資金調達で高利の利息を払っていたというポンジスキームが指摘されており、投資家による集団訴訟にまで発展しています。ビットコネクトについてさらに詳しく知りたい方は、【ビットコネクト(BCC)とは?特徴や将来性、購入におすすめの取引所まで徹底解説】を参考にしてください。
D9クラブ
D9クラブとは、日利10%という闇金並みの高利回りを引っ提げて登場したHYIPのことです。D9クラブは、ブラジルで登記が行われており、ブックメーカーに投資を続けているという、お国柄サッカー関連の勝ち負けを予想するというビジネスモデルでした。
このHYIPも長続きすることは無く、2017年4月ごろから元金が出金できないようになり、多くの人が資金を飛ばすことになりました。D9クラブについてさらに詳しく知りたい方は、【D9クラブとは?詐欺と言われた案件の現在や仕組みを徹底解説!】を参考にしてください。