FX自動売買の「停止機能」とは?活用のタイミングを解説!

 

24時間自動で取引を行ってくれるFXの自動売買ツール。時間がない人や初心者にも人気のあるツールですが、自動売買には取引を停止すべきタイミングがあることをご存じでしょうか。

 

この記事では、自動売買の停止機能を使った方が良い理由や、自動売買を停止した方が良い場面について解説していきます。

FX自動売買の「停止機能」とは?

FXの自動売買ツールは、あらかじめ設定したルールに基づいて自動で発注を行ってくれるものです。発注は24時間行ってくれますが、「停止機能」を利用することによって自動約定をストップすることもできます。

そのため、「あらかじめ設定したルールに当てはまる相場でもエントリーしたくない時」には、この停止機能を使うことで取引の成立を回避できるのです。

FX自動売買の「停止機能」はなぜ使った方が良い?

FXの自動売買は、裁量取引のようにマーケットに張り付く手間がかからないことが魅力のひとつです。

 

それにもかかわらず、停止機能を使った方が良いのはなぜなのでしょうか?ここでは、3つの理由を解説していきます。

自動売買はどんな相場にも適しているわけではない

自動売買には多くのストラテジーがあります。ストラテジーの中にはレンジ相場が得意なものもあれば、トレンド相場が得意なものもあり、その種類は様々です。

 

相場環境に適さないストラテジーを選択していると、なかなか取引が約定せずに全く利益を上げられないこともあります。そのため、自分が選択しているストラテジーが現在の相場環境に合っているのか、適時考える必要があるのです。

 

また、そもそも自動売買を利用することが適していない相場もあります。裁量取引であれば取引を行わないような相場環境であっても、自動売買では条件が合致すればポジションをエントリーしてしまいます。そのような環境で自動売買ツールを稼働させたままにすると、いつの間にか損失が膨らんでいたということにもなりかねません。

 

したがって自動売買は完全に放置するのではなく、定期的に運用状況をチェックする必要があるといえるのです。

証拠金残高によっては取引を止めた方が良い

自動売買では証拠金残高の管理も大切なポイントです。「自動売買は完全に放置しても大丈夫」と思い込んで口座の残高をチェックしていなければ、預入している証拠金の残高が極端に減っていたということもあり得ます。

その結果、強制ロスカットばかり発生したり、エントリーのタイミングを逃したりといった事態が発生してしまうのです。

特にハイレバレッジで取引を行いたいときは、こまめに証拠金の残高を管理するようにしましょう。もしも証拠金の残高が少なくなっているようであれば、一次的に自動売買の取引停止を行うことも選択肢のひとつです。

自動売買の取引状況をチェックする習慣が身につく

自動売買ツールを利用していると、つい稼働状況をチェックすることがおろそかになってしまいます。その結果、上記で説明したような損失が発生したり、ストラテジーとマーケットの乖離が発生したりしてしまうリスクがあります。

しかし、「○○の相場では自動売買を停止する」というマイルールを設けていれば、定期的に自動売買ツールをチェックする習慣が身につきますよね。それによっていち早く相場の変化に気付ける可能性もあり、損失を未然に防ぐことも可能になります。

FX自動売買の「停止機能」を使った方が良い場面とは?

ここまで、自動売買の停止機能の必要性について解説してきました。

 

それでは、自動売買の停止機能はどのような場面で使うのがよいのでしょうか。以下で詳しく解説していきます。

①予想外の相場変動が起きて、ボラティリティが大きくなった時

予想外の相場変動が起こり、ボラティリティが大きくなったときは自動売買を停止させることがおすすめです。

 

ボラティリティとは「価格変動率」のことで、一般的にボラティリティが大きくなるほどリスクも大きくなるといわれています。

 

ボラティリティの大きい相場は、短期間で大きな利益を掴むチャンスもあるため、自動売買を停止するのはもったいないと感じるかもしれません。たしかに予想通りに相場が動けば、大きな利益を手にすることが可能です。しかし、予想の逆に動いたときのリスクの大きさも考慮しなければいけません。

 

ボラティリティの大きい相場は、大きな損失が発生する局面でもあるため、自動売買は停止しておく方がリスク回避となります。

②重要な経済イベントや経済指標が発表される時

重要な経済イベントがある日や、重要な経済指標が発表されるときは自動売買を停止するようにしましょう。

 

ドル円の取引であれば、FOMCや雇用統計の発表日の前後は自動売買を控える方が賢明です。これらのタイミングでは相場が大きく動くこともあるため、保有しているポジションによっては大きな損失が発生する可能性もあります。

 

マーケットに影響を与える経済イベントのスケジュールは、各FX会社が情報を提供しています。自分がトレードする通貨ペアに関するイベントは、あらかじめチェックするようにしておきましょう。

③一週間の終わり

週の変わり目も大きくトレンドが動く可能性があります。もし土日にマーケットに影響がある出来事が起こった際、週明けの月曜日に相場が大きく動くことは珍しくありません。

 

そのため、週をまたいでのポジションを保有していると、窓が開いた月曜日に大きく損失を抱えてしまう可能性があります。したがって、一週間の終わりには自動売買を停止しておく方が良いでしょう。

 

④戦争や政変などマーケットに大きな影響を及ぼす出来事が起こった時

戦争や政変もマーケットに大きな影響を及ぼす出来事となります。こうしたリスク要因がある相場では短期の見通しも立てづらいため、自動売買は停止することがおすすめです。

 

また、戦争や政変などは発生するタイミングが読めないため、異変に気付いたときにすぐに対処するスピード感も求められます。自動売買に任せっきりで相場をチェックする習慣が身についていなければ、このようなマーケットの転換局面に気付かない可能性もあるでしょう。そこで損切りなどの対応が遅れると、損失の幅が広がることも十分考えられます。

 

したがって自動売買を利用する場合でも、普段から相場環境をチェックしておくことは大切なポイントなのです。

 

⑤VIX指数が上昇した時

VIX指数が上昇した時も、自動売買を停止すべきタイミングです。VIX指数は「恐怖指数」とも呼ばれ、このVIX指数が高いほど投資家がマーケットの先行きを不透明に感じていることを表しています。

 

2020年のコロナショックの際はVIX指数が80を超えるなど、VIX指数が高いときはマーケットが不安定であることが分かります。このような相場ではマーケットの方向感も失われているため、自動売買を稼働させたままにすると思いもよらぬタイミングでポジションエントリーしてしまう可能性もあるのです。

 

したがって、「VIX指数が○○を超えたら自動売買を停止する」といった目安を作っておく方が良いでしょう。

 

まとめ

FXの自動売買ツールは、24時間自動で取引を行ってくれる便利なツールです。しかし、自動売買には不向きな相場もあるため、マーケット環境によっては一時停止することを覚えておきましょう。

 

自動売買だからといって完全に放置してしまうのではなく、こまめに稼働状況をチェックすることで、突然のマーケット変動で損失を被るリスクも抑えられます。

記事の監修者

中島翔

中島 翔

学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。その後国内大手仮想通貨取引所Coincheckでトレーディング業務、新規事業開発に携わり、NYのブロックチェーン関連のVCを経てCWC株式会社を設立。証券アナリスト資格保有 。

Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12



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