【年利2%?】ドル円の年間値幅とアノマリーの活用で収益を狙う手法とは

FX取引の方法には、デイトレードやスイングトレード、ポジショントレードなど様々な種類があります。

 

また為替相場の分析方法にもテクニカル分析やファンダメンタルズ分析などの種類があり、初心者の方には少々ハードルが高いと感じることもあるかもしれません。

 

しかし中には初心者の方でも活用しやすいトレード手法もあります。今回の記事では、初心者でも活用できるドル円の年間値幅とアノマリーを活用したトレード手法について解説していきます。

 

ドル円の年間の値幅

 

まずはドル円の年間の値幅について見ていきましょう。

 

年間の値幅とは、1年の中で最も円高だったレートと、最も円安だったレートの幅のことを指します。

 

以下の表で直近10年のドル円の値幅についてまとめています。

 

値幅
2011年10.18
2012年10.76
2013年18.88
2014年21.09
2015年10.00
2016年22.67
2017年11.28
2018年9.99
2019年7.94
2020年11.05

参考:三井住友DSアセットマネジメント

 

過去10年のドル円の値幅の単純平均は、平均13.38円となっています。

 

2014年は年初から米国の景気悪化懸念を受けて円高推移が続いていましたが、10月に日銀による量的質的緩和が実施されたことから大きく円安に推移しました。

 

また2016年については、イギリスのEU離脱についての是非を問う国民投票、米国大統領選挙でのドナルド・トランプ氏の当選など、マーケットにとって不安要素が大きい出来事が続いたため、安定資産とされる円に資金が多く集まりました。その結果大きく円高に動くこととなり、年間の値幅も大きくなっています。

 

中にはこのように例外的に値幅が大きくなる年もありますが、こうした年を除けばドル円の年間値幅は概ね10円ほどと考えてよいでしょう。

 

ドル円における年間アノマリー

 

次にドル円における年間アノマリーについて見ていきましょう。

 

アノマリーとは、理論的な根拠があるわけではないけれど、当たることの多いマーケットの経験則のことをいいます。株式相場の代表的なアノマリーとして、「セル・イン・メイ」や「夏枯れ相場」などが挙げられます。

 

ドル円にも同様のアノマリーが存在しており、その中に「3月は円高傾向になる」というものがあります。

 

これは3月に日本企業の決算が重なり、保有している米ドルを円転する企業が増えることが原因とされています。

 

もちろん米ドルのまま保有する企業もありますが、3月は支払いのための資金需要も高まるため、大部分の米ドルは円転される傾向にあるようです。

 

つまり3月は日本企業による米ドルの売り圧力が高まることから、円高に推移する傾向にあるということです。

 

チャートから読み解くエントリーのタイミング

 

これまで紹介した年間値幅とアノマリーを活用しながら、エントリーのタイミングを考えてみましょう。

 

以下のチャートは、2018年1月から2021年12月までのドル円週足チャートです。

 

2018年から4年間のドル円の週足チャート

 

 

青い〇印はそれぞれの年の3月時点のドル円の水準を示しています。このチャートを見ながら「3月は円高傾向になる」というアノマリーを振り返ってみましょう。

 

2019年3月は当てはまっていませんが、2018年、2020年の3月はこのアノマリーに当てはまっているのではないでしょうか。

 

また同様に年間値幅についても確認してみます。

 

2018年、2020年ともに年間値幅は10円前後となっており、3月時点にエントリーすることで収益が挙げられていたことが分かります。このことからも年間値幅とアノマリーの活用だけで、しっかりと収益をあげることが可能だといえるでしょう。

 

一方、2019年は3月時点で既に円安に推移しているため、ここでのエントリーは見送られることとなります。

 

年間値幅を活用して考えることでエントリーのタイミングが見えてくるのがポイントです。

 

2019年は8月に105円までドル円が急落しており、既にこの時の年間値幅は10円近くとなっています。そのため8月時点で、年内はこれ以上の下落は考えにくいだろうと推測することができるでしょう。

 

実際に8月以降は円安へ反発していることからも、2019年は8月がエントリーのタイミングとして理想的であったことが分かります。

 

FX取引において、下落基調の相場ではエントリーするタイミングが掴みにくいと感じるかもしれません。下落している相場では、不安心理として「もっと下がるのではないか」と感じるためです。

 

もちろんエントリーするタイミングとして、「最適のタイミング」を掴むことが理想的ではありますが、プロの投資家でもそれは難しいものです。

 

そこでアノマリーと年間値幅を取引に活用することで、概ね良好なタイミングでエントリーすることができます。つまり「最適なタイミング」でなくても、十分利益は取れるということです。

 

当然為替相場の動きは100%の予測はできないため、アノマリーや年間値幅に反した例外的な動きをすることもあります。

 

経済イベント、要人の発言、地政学的リスクなどで大きな変動が起こる可能性もあるため、年間値幅やアノマリーが必ずしもあてはまるとはいえないでしょう。

 

ポジション決済のタイミングとは

 

エントリーのタイミングよりも難しいのは、ポジションを決済するタイミングです。

 

特に利益が出ていると「もっと儲かるのでは」と思うのが人間の心理です。

 

そんな時でもスムーズにポジションを決済するためには、自分の中で目安となる利回りを決めておくことが大切です。

 

たとえば「2-3%利益が取れたら決済する」など具体的な数字を決めておくことで、その水準に達した時に迷わず決済できるでしょう。

 

ズルズルと決済のタイミングを逃してしまい、結局利益が取れなかったというのは、FX取引において一番避けたいことです。

 

またポジション決済のタイミングとして、ここでもアノマリーを活用することができます。

 

たとえば年間アノマリーの中で、12月は円安に動きやすいといわれています。

 

これは米国企業の決算で、円売り需要が高まることや、クリスマス休暇で市場参加者が少なくなるためです。3月とは反対のことが起こるため、円安に動くということです。

 

このアノマリーを踏まえると、3月もしくは値幅を利用してエントリーしたポジションを年末まで保有しておくのも良いかもしれません。

 

またリスク分散を考えれば、「2%利益が取れたら決済するポジション」、「年末まで保有しておくポジション」とポジションを分散する方法もおすすめです。

 

このようにポジション決済は、利益確定する水準やタイミングをあらかじめ決めておくことが大切です。

 

まとめ

 

FX取引ではファンダメンタルズ分析やテクニカル分析など、難しい分析が必要となると感じている方も多いかもしれません。しかし、中には初心者の方でも活用できる簡単なトレード手法もあります。

 

この記事では年間値幅とアノマリーを活用する取引手法について紹介してきました。ドル円の年間値幅は概ね10円であることと、3月は円高傾向になるというアノマリーを活用することで、エントリーのタイミングを計るというものです。決して難しい取引手法ではないため、初心者の方もぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

記事の監修者

中島翔

中島 翔

学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。その後国内大手仮想通貨取引所Coincheckでトレーディング業務、新規事業開発に携わり、NYのブロックチェーン関連のVCを経てCWC株式会社を設立。証券アナリスト資格保有 。

Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12



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