イギリス・ロンドンに本拠地を置き、45年以上の運営歴を持つIG証券は日本を含む15ヵ国で事業を展開し、31万人以上が利用する人気の証券会社です。
IG証券はノックアウトオプションという商品を提供していることでも知られています。
ノックアウトオプションはリスクを限定しながら比較的低コストで行える取引ですが、それでも取引をするうえでは発生するコストを十分に理解することをおすすめします。
そこでこの記事では、IG証券で取引をする際のコストについて解説していきます。
CFD取引やノックアウトオプション取引でかかるコストについて、実例を提示しながら説明していきますので、是非IG証券を利用する際の参考にしてください。
CFD取引でかかる取引コスト
まずは、IG証券のCFD取引でかかる取引コストについて見ていきましょう。
CFD取引とは
CFD取引は「差金決済取引」と呼ばれ、現物ではなく金融商品の差額を対象とした取引です。
注文時は価格の動きを予想して、決済時の価格との差額で利益を得る仕組みとなっているため、売りポジションからも取引を始められます。
CFD取引の取引コスト
CFD取引では、「ファンディングコスト」「取引手数料」「スプレッド」の3種類のコストが発生します。以下で詳しく見ていきましょう。
①ファンディングコスト
ファンディングコストは「資金調達コスト」や「オーバーナイト金利」とも呼ばれ、CFD取引で発生するコストの代表例でもあります。買いポジションではファンディングコストを支払い、売りポジションではファンディングコストを受け取ることが可能です。FX取引の経験がある方は、スワップポイントをイメージすると理解しやすいでしょう。
ファンディングコストは、一般的に以下のような計算式で求められます。
原資産価格 × ロット数 × (指標金利±2.5%) ÷ 360日=ファンディングコスト |
指標金利については、買いポジションでは+2.5%、売りポジションでは-2.5%の計算式が適用されます。
②取引手数料
IG証券では個別株CFDに対して取引手数料が発生します。原資産ごとに取引手数料が定められているため、以下の表で確認しておきましょう。
日本株(Chi-X及びジャパンネクストPTS) | 0.055%(最低110円) |
米国株(NYSE) | 2.20セント/1株(最低16.50米ドル) |
米国株(NASDAQ) | 2.20セント/1株(最低16.50米ドル) |
英国株(LSE) | 0.110%(最低11.0英ポンド) |
上記の取引手数料は片道分であるため、実際にはエントリー時と決済時の2回かかることとなります。
③スプレッド
CFD取引でもスプレッドが発生します。
スプレッドとは買値と売値の差額のことであり、トレーダーが間接的に負担する手数料のようなものです。スプレッドの幅は銘柄によって異なるため、取引の前に公式サイトで確認するようにしましょう。
CFD取引の商品別コスト
ここからは実際にCFD取引で発生するコストについて、商品別に計算していきます。
①株式CFD
・ファンディングコスト ・取引手数料 |
株式CFDでは「ファンディングコスト」と「取引手数料」がかかりますが、リアルタイムの価格で取引されるためスプレッドは発生しません。
取引例:5ドルの米国株式の買いポジションを1ロット保有した場合
(1ドル=100円、FF金利1ヵ月物オーバーナイト金利=0.25%で計算)
(1)ファンディングコスト
500円×1,000株×(0.25+2.5%)÷360日=38.1円(ファンディングコスト)
(2)エントリー時の取引手数料
2.2セント×1,000株=22ドル(2,200円)
(3)合計
38.1+2,200=2,238.1円
つまり、この例では買いポジションを1日持ち越すと2,238円の取引コストが発生することとなります。
②株価指数CFD
・ファンディングコスト ・スプレッド |
取引例:25,000円の株価指数CFD(日経225)の買いポジションを1ロット保有した場合
(円LIBOR1ヵ月物=0.1%で計算)
(1)ファンディングコスト
25,000円×1ロット×(0.1+2.5%)÷360日=1.8円
(2)スプレッド
7ポイント×500円(1pipsあたりの損益)=3,500円
(3)合計
1.8+3,500円=3,501.8円
つまり、この例では買いポジションを1日持ち越すと3,501円の取引コストが発生することとなります。
③商品CFD
・ファンディングコスト ・スプレッド |
取引例:50ドルの商品CFD(WTI原油)の買いポジションを1ロット保有した場合
(1ドル=100円、FF金利1ヵ月物オーバーナイト金利=0.25%で計算)
(1)ファンディングコスト
5,000円×1ロット×(0.25+2.5%)÷360日=0.4円
(2)スプレッド
6ポイント×10ドル(1pipsあたりの損益)=6,000円
(3)合計
0.4+6,000円=6,000.4円
つまり、この例では買いポジションを1日持ち越すと6,000円の取引コストが発生することとなります。
④債券先物CFD
・ファンディングコスト ・スプレッド |
取引例:10,000円の債券先物CFD(日本国債)の買いポジションを1ロット保有した場合
(円LIBOR1ヵ月物=0.1%で計算)
(1)ファンディングコスト
10,000円×1ロット×(0.1+2.5%)÷360日=0.7円
(2)スプレッド
5ポイント×10,000円(1pipsあたりの損益)50,000円
(3)合計
0.7+50,000円=50,000.7円
つまり、この例では買いポジションを1日持ち越す50,000円の取引コストが発生することとなります。
ノックアウトオプションにかかる取引コスト
次に、IG証券でのノックアウトオプションにかかる取引コストを見ていきましょう。
ノックアウトオプションとは
ノックアウトオプションとは、取引の最初にあらかじめ最大損失を設定する取引です。原資産の価格が設定した水準に達すると自動でポジションが決済されるため、トレーダーは想定以上の損失を被るリスクがありません。
IG証券では、FXや株価指数、商品でノックアウトオプションでの取引が可能となっています。
ノックアウトオプションの取引コスト
ノックアウトオプションでは以下の5種類の取引コストが発生します。それぞれ詳しく見ていきましょう。
①ファンディングコスト
CFD取引同様にノックアウトオプションでもファンディングコストがかかります。
仕組みはCFD取引と同様ですが、ノックアウトオプションでは売りポジションは建てられません。そのため、「ブル」ポジションでは、ファンディングコストを支払い、「ベア」ポジションではファンディングコストを受け取ることとなっています。
②スワップポイント
ノックアウトオプションでは、通常のFX取引同様にスワップポイントが発生します。
高金利通貨取引でスワップポイントを受け取れることはメリットとなりますが、反対にスワップポイントの支払いが発生する場合もあるため、2通貨の金利差についてはあらかじめ確認しておきましょう。
③スプレッド
スプレッドについても、CFD取引同様にノックアウトオプションでも発生するコストとなります。
スプレッドの広さは銘柄によって異なるため、取引したい銘柄が決まっている場合は公式サイトで確認することがおすすめです。
④オプション料
ノックアウトオプションでは、商品を自動で決済する水準(ノックアウト価格)を決めますが、このノックアウト価格の水準によってオプション料が上下します。
リスク許容度や投資金額によって自由に決定できるため、自分の投資意向に応じてオプション料を検討しましょう。
⑤ノックアウトプレミアム
ノックアウトオプションでは、ノックアウト価格に達した際にスリッページなしで決済することへの保証として「ノックアウトプレミアム」を支払います。
ノックアウトプレミアムは原資産のボラティリティによって変動するため、ポジション保有後に変動する可能性があります。
ノックアウトオプションの商品別コスト
ノックアウトオプションの取引コストについて、商品別に見ていきましょう。
①FX
・スワップポイント ・スプレッド ・オプション料 ・ノックアウトプレミアム |
取引例:米ドル/円取引をベアで1ロット保有した場合
スワップポイント6.0、スプレッド0.6、ノックアウトプレミアム2
エントリー時1ドル=100円、ノックアウト価格1ドル=95円で設定
100×(6.0+0.6+2+50)=5,860円のコストが発生することとなります。
②株価指数
・ファンディングコスト ・スプレッド ・オプション料 ・ノックアウトプレミアム |
取引例:株価指数をベアで1ロット保有した場合
ファンディングコスト8、スプレッド15、ノックアウトプレミアム3
エントリー時2,000円、ノックアウト価格1,800円で設定
100×(8+15+3+20)=4,600円のコストが発生することとなります。
③商品
・ファンディングコスト ・スプレッド ・オプション料 ・ノックアウトプレミアム |
取引例:商品をベアで1ロット保有した場合
ファンディングコスト5、スプレッド2.8、ノックアウトプレミアム4
エントリー時7,000円、ノックアウト価格6,700円で設定
100×(5+2.8+4+30)=4,180円のコストが発生することとなります。
まとめ
この記事ではIG証券の取引コストについて解説してきました。IG証券では多くの取扱銘柄があり、国内では珍しいノックアウトオプションでも取引ができます。
しかし、CFD取引・ノックアウトオプション共に保有中の取引コストには注意をしましょう。オーバーナイト金利やスワップポイントによっては、長期保有することによって大きな保有コストが発生してしまう場合もあります。
それらの手数料について公式サイトに提示されており、事前に保有中のコストもシミュレーションができるため、取引の前には一度確認してみましょう。