金融庁「仮想通貨交換業等に関する研究会」第9回を開催!
金融庁は11月12日、「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第9回) を開き、翌13日に会議で使用した配布資料を公開しました。資料2によると、研究会で討議が行われた内容は以下の4つとなっており、ウォレット業者や不公正な取引への規制、仮想通貨の呼称が議論されました。
1. 仮想通貨の売買等を伴わない仮想通貨の管理を業として行う者(いわゆるウォレット業者)に対する規制の要否等
2. 仮想通貨の不公正な現物取引への規制の要否等
3. 仮想通貨の呼称
4. 仮想通貨デリバティブ取引に係るその他の論点
ウォレット業者に対する規制
ウォレット業者が行う業務は顧客の仮想通貨を管理、移転させる業務となります。そのため金融庁によると、「仮想通貨の売買等を伴わないため、仮想通貨交換業に該当しない」とのことです。
つまり、資金決済法上、仮想通貨交換業として規制することができません。しかし、サイバー攻撃やマネーロンダリング、テロ資金供与など、仮想通貨交換業と同じリスクを抱えている点を考慮すると、規制が必要ということになりました。
そこで検討された規制内容が以下となります。
・登録制
・内部管理体制の整備
・業者の仮想通貨と顧客の仮想通貨の分別管理
・分別管理監査、財務諸表監査
・仮想通貨流出路の対応方針の公表、弁済原資の保持
・利用者保護または業の適切な遂行に支障を及ぼす恐れがあると認められる仮想通貨を取り扱わないこと
・顧客の本人確認、疑わしい取引の当局への届け出 等
仮想通貨の不公正な現物取引への規制
仮想通貨の現物取引では、インサイダー取引、不正行為等が報告されている一方で、現状は「こうした行為を禁止する規制はない」状態です。
資料2では不正行為に対して、「仮想通貨交換業者を含めたすべてのものを対象とする罰則等の導入」等を検討しており、インサイダー取引に対しては仮想通貨交換業者に対して以下のような対応を求めることも検討したとのことです。
(ア)取引審査を行うこと
(イ)「取り扱うまたは取り扱おうとする仮想通貨に係る自己が有する未公表情報」の適切な管理を行うこと
(ウ)当該未公表情報に基づき自己または他人の利益を図る目的で取引を行わないこと。
不正行為、インサイダー取引への規制の参考資料はこちら
仮想通貨の呼称
研究会では「仮想通貨」から「暗号資産」へと呼称を変更するかどうかについても討論しました。資金決済法では、FATF等で用いられていた「virtual currency」の日本語訳であり、国内でも広く一般的に使用されていたという理由で「仮想通貨」という呼称を使うことにしていますが、最近はG20などで「暗号資産」との表現が使われています。
国際的な動向等に沿って呼称を変更すべきか、慣れ親しんだ名前で呼び続けるのかについて検討したとのことです。
仮想通貨デリバティブ取引にかかるその他の論点
最後のデリバティブ取引ですが、仮想通貨デリバティブ市場の開設において、免許を必要とする場合に、公共性のある取引所市場が存在する必要があるのかどうかについての討論されました。
金融庁 「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第9回)議事次第はこちら